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「鶴蝶は〜?」
「……入れなくて良いんじゃないか。イザナはピアスを開けて一番にAに自慢していた、既に嫌でも刻まれてるだろう」
「あ?勘違いしてンなよ鶴蝶、Aはお前と違って黒川イザナを消化してる。今更あの野郎の事なんて何とも思っちゃいねーよ」
「……取り消せ。Aの本質はそんなんじゃない、アイツは今でも、」
「ハイハイ、ストーップ。三途はどうでも良いけど熱くなんな、鶴蝶。らしくねーぞ〜」
「単にAちゃんのタトゥーの話な。ココは?」
……今俺に振るか?
「A本人に委ねて良いと思うが。そもそもボスへの忠誠心っつーか、大切にしてるのは明らかだし。今更だろ」
お前らが揉めて疲れるのは俺とAだ。言い切ると同時に溜息を吐く。
身にも金にもなんねー時間は無駄だ、自室に戻ろうと立ち上がると同時、ちょうど帰って来たAが幹部室の扉を開けた。
「ただいま……何、喧嘩?」
「いや、Aの話だよ。梵天のタトゥー入れるか入れまいか」
「どっちでも良いわ。ハル、例の裏カジノの詳細取りに来て。蘭、竜胆、麻布ビジューの収支が合わなかった件、副店長が黒よ」
「りょ。今行く」
「……え、マジ」
端的に要件を伝え、踵を戻すAに皆が一瞬固まった後、バタバタと動き出す。
残されたのは俺と鶴蝶。
「九井、さっきは悪かった」
相変わらずクソ真面目な野郎だ。
「俺にも忘れらんねー、今でも気に掛かる奴がいんだわ」
「乾、だったか」
「はっきり言うな。まぁ、忘れろとは言わねー。悪いが、俺は黒川イザナに恩どころか恨みもある」
「……ああ」
「ただな。ひたすら前しか向かねーA見てると、女々しい自分が情けなくもなんだ。思い詰めるなよ」
未だ眉間に皺を寄せる鶴蝶に言い残し、今度こそ自室に戻った。
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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年3月1日 0時