40. 思い出を星の陰に*kkni ページ42
Aが正式に幹部昇格した。
梵天に加入してから三ヶ月、これまでも同等以上の扱いだったし、何ならボスは初対面からそのポジションを差し出していたが。
理由はステータスでも何でもなく、とにかく多忙だから。また、一介の構成員が「最上階に出入りする美人は誰の女だ」等と下世話な噂話をするようになったから。
そして何より、相応の力があったから。
試しに組んだモッチーに接戦の末勝利した体術は勿論、銃の腕に至っては梵天一とも言えるのではないか。
幼き日から自身や関東卍會、梵天に敵対する者には容赦なく制裁を加えて回っていたらしいA。一度アジト内の射撃場擬きで小型のオートマ拳銃を握らせてみたが、特に早撃ちは鳥肌ものだった。
三途は「ほら見ろ」と何故か我が事のように得意気で、思い返しても絶妙に腹が立つ。
まぁ、いっそ幹部になり部下を従えるべきだと皆が声を揃えるのは必然で。
それから数日。幹部室での討論の議題は、Aのタトゥーについてだ。表の仕事で早朝から出張っているA本人はいない。
「あのモチスベ肌を傷付けんのは勿体ないっしょ〜。色白に戻りつつあるし」
「銃創ある時点で今更だろ」
「え、何ヤク中。もしかしてAちゃんの裸見たん……?」
「ンな訳あっか。ただガキン頃、コタのドームで撃たれたっつってた」
こんな具合だ。「別に墨入ってる女嫌いじゃないけど♡」「俺は俄然清楚派」と時々割れている灰谷兄弟に「梵天の印入ってりゃーいざとなっても変な野郎に喰われねー」と三途。
色々とズレている。
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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年3月1日 0時