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「……ん?おー流石Aちゃん、来店記録ん中にもその名前見っけー♡」
「ちゃっかり領収書切らせてんじゃん」
僅かに息を切らせたAに続けるクソ谷兄弟。
「Aに詳細貰って、明日そいつのガラ攫って来ます」
「……サツの周りには監視カメラも多い。抜かるなよ、三途」
「ッス」
「マイキー、売人共はどうするんだ?」
「山本に吐かせりゃ済む話だろ」
翌日、と言っても日が登る前。俺はAに指示されたアパートの前にいた。
「ンだこのボロ屋、やっぱサツ官って儲かんねーんだな。横流ししたくもなっか」
「っ、!?誰、」
「暴れても無駄だぜ。山本サン、うちのシマで随分好き勝手してくれたみてーだなァ」
「……何の話だ。俺はこれから出勤で、」
「あーーーーーむっ♡梵天っつったらわかっかァー?」
「!?えっ、電波が」
「ジャックした。死にたくなきゃ乗れ」
相澤が運転席に腰掛けるバンにおずおずと乗り込んで来る山本。
どのみちスクラップだけどなァー♡
「……何でバレた」
「うちの姫がテメーより上手だっただけだろ」
「"姫"……?」
「んー、何だっけ。あっ、"クイーン・オブ・オールトレード"ことAチャン♡」
「!!?あの、世界政府まで動かせるっていう……まさか、」
「"クイーン"なんて異名が似合わないほど可愛い奴なんだわ。首領、A、見えてますかァ〜」
「死んだ赤坂のソープ嬢の復讐か!?あれは、」
「あー、灰谷の店の女が死んだらしいな。けど俺は顔も名前も知ンねーし、興味もねー。自業自得だろ」
「じゃあ、何でわざわざ俺を!!」
「反吐が出るほど嫌いなんだよ。梵天を、マイキーを、Aを舐め腐ってる奴らがよォ」
地下に運ばれた山本はそのめでたい頭で生かされると信じていたのか、素直に手口や使っていた売人の情報を吐いた。
スクラップを終え部下に後処理を任せ、一旦幹部室に戻る。
「A、何してンだァ?」
「出ー来た!」
Aに見せられたのは、山本が自宅アパート前で俺じゃないデカブツに攫われる映像。
「CGよ。冴木組には手間掛けさせられたから、跡取りに擦り付けちゃおうと思って。そろそろ出勤して来ない山本刑事が探されるでしょうから、監視カメラの映像差し替えて戻すわ」
幹部皆がAだけは敵に回したくねーと心を一つにした瞬間だった。
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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年3月1日 0時