37. 女王のお仕事 *snz ページ39
灰谷が担当する風俗店のキャストが、シャブの食い過ぎで死んだらしい。
一応、クラゲ頭こと竜胆が死体の側に落ちていたパケを持ち帰って来たが、俺はどこぞの科捜研でもねーし。
ーー梵天のシマ荒らしてんのは誰だ?
「ハル、入っても良い?」
「……ああ」
無性に苛々し、ヤクをキメようとしたところに軽いノック音の後、聞き慣れた澄んだ声が届いた。
「どうした、A」
「お店の経営は蘭たちでも、主にドラッグを仕切ってるのはハルでしょう?そろそろ痺れ切らす頃かしら、って」
「……良くわかってんじゃねーか」
「今は我慢してね」
ハルが死んだら嫌だ、と俯くA。
Aは誰よりも肝が据わった女だが、黒川イザナが関係するのか、知った人間の死には敏感なきらいがある。元より優しい奴だしな。
お前に救われた命、簡単にくれてやんねーから。Aの艶やかな髪を梳き気持ちを落ち着かせようにも、腹の虫はそう簡単に収まってくれない。
「チッ……うちのシマで好き勝手やってんのはどこのどいつだ、クソが!!」
「ねぇ、ハル。聞いて」
「……何だ」
「そもそも純度100%のシャブなんて基本出回らない、わかるでしょ」
「あー、他のカスみてーなンでサバ読んでんな」
「ええ。ブランデー吹き付けて重くしてるのもあるわ」
「げ、エグ……そンで?」
「ブレンドの癖でネタ元が特定出来る。私も竜胆から預かって、曲がりながらに調べてみたの。キャストさんが亡くなった原因のネタを」
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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年3月1日 0時