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因みに俺と兄貴の事はただのオーナーという認識で、梵天幹部だとは知らない。
「竜胆くんが"本命作る気ない"って信じてる子多いし、私もAさんに会うまで竜胆くんが一人の女にマジになる事ないと思ってたけどぉ」
一周回って面白い、と笑うユリを睨む。
「クラブで遊んでた頃も、今は店のキャスト内でも竜胆くんは蘭くんよりガチ恋勢多いかんね〜。Aさん大切なら気を付けなよぉ」
「仕事で絡みねー女は切る……その前に俺、Aちゃんに全然意識されてねーんだけど」
「ぷっ、それどころか私彼女だって勘違いされたままじゃん」
「あっ。あ"ー……」
「マジ焦りウケる、私からは訂正しないよぉ。でも流石に可哀想だから、他のキャストには黙ってたげる」
「……頼むわ」
「てかさぁ、どんな関係？水関係っぽくなかったけど」
何と説明すべきか……あ。一度代わりに上がりの回収に来てくれた鶴蝶とユリは面識があった筈。
「鶴蝶覚えてっか？俺らの経営手伝ってくれてる」
「んー……ああ、店長がナンバー上位集めて飲んでくように勧めても断って帰った硬派なイケメン！」
「……硬派だけど、どっちかっつーと天然だぞ。Aちゃんはその幼馴染み、兄貴たちとも仲良い上にすげー気に入られてんの」
「えっ、マジ！？幼馴染みとか少女漫画展開アリじゃん……って蘭くんもかぁ〜。ライバル多そぉ」
「それな」
「本命いる男に興味ないから竜胆くん応援したげてもいーけど、やっぱ幼馴染みカップル尊いわぁ。今更だけど、あんだけ綺麗なのに彼氏いないんだよねぇ？」
「あー、うん。聞いた訳じゃねーけど、結構生い立ちが複雑っつーか、最近日本帰って来たばっかで。いねー筈」
いたらマイキーや三途とのあの距離は許されないだろうしな。
それから酔っ払ったユリは何故かAちゃんと鶴蝶のラブロマンスを妄想し始め「てぇてぇ」と連呼し出した。鶴蝶はねーだろ、多分。
例えアイツがメイちゃんに気があったとしても、大将に遠慮して一歩引きそうじゃん。鶴蝶の中での王はきっと今も大将だから。
マイキーやマイキー信者の三途の手前おくびに出さないだけで、時々Aちゃんを通して大将を見てる気がすると兄貴が言っていた。
もしかして一番のライバル、大将なんじゃねーの？幼いAちゃんに恋愛感情はなかったようだけど、大切な存在だった事には違いないし。
「死に逃げはずりーよ、なぁ。大将」
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作者名：カーター千之助 | 作成日時：2024年3月1日 0時
