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Aちゃんが「んー！」と満足げに伸びをする。三途は「A、マジ助かった……マイキーもすみません。どうしてここに？」と重そうな睫毛をバサバサと瞬かせている。
「Aを罵倒する声がしたから来た。竜胆、隣のココもどうせ聞いてただろうから呼んで来い」
「ッス」
「"Aを罵倒"……？どこのドブですか」
「これ。一応録音もしといたぜ、ボス」
「ん。地下行くぞ」
「ちょ、は、離してよ！！」
「っ……重。三途代われ」
「デスクワークばっかで筋肉落ちたんじゃねーの。俺もンな汚ェの触りたくねーわ」
「竜胆、お前の兄の不始末だろ」
「……兄貴連れてすぐ戻る。麻袋何枚？」
「2。九井、その録音とやら聞かせろやァ」
ボスの素性を知らない一般構成員は多い。それはさておき、とにかくモブ山は地雷を踏んだ。素があの性格じゃ、どうせ儚い命だったんだろうが。
ココも、今頃録音を聞いている三途も、間違いなくブチギレてんだろうな。
モブ山はAちゃんに飽き足らず、マイキーの事だってコケにしたんだから。
目的はやっぱ兄貴で、上層部に自分以外の女がいた事実が気に入らなかったってとこか？
酷い醜態だった。仮に上司の命を破れない使命感からだとしても、Aちゃんに罵声を浴びせるのはお門違いだ。
優し過ぎるAちゃん当人こそ、怒った様子もなければ普段通りだったけど。
「兄貴！！！」
「んぁー？Aちゃんは？」
「それどこじゃねーんだよ！！兄貴だってタダじゃ済まねーかもしんねーぞ」
一連を話しながら、取り急ぎ麻袋とロープを漁る。武器は各々持ってっし、拷問具は地下にあるから良っか。
漸く事態の深刻さに気付いた兄貴は、「……俺ヤバくね」と呟いている。
「わかんねー。けどモブ山は楽に死なせて貰えねーだろうな」
「Aちゃんに暴言って何言ったのー？」
「俺が行ってからは"見た目通りバカ"とか、諸々」
「情報界の世界女王にウケる」
真顔で放つ兄貴を三途の部屋の前まで連れて行くと、泣きじゃくりながらマイキーに土下座するモブ山の頭を三途が踏み付けていた。
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作者名：カーター千之助 | 作成日時：2024年3月1日 0時
