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部下の唸り声で目を覚ますと同時、Aが戻って来て何かを俺に放り投げた。
俺、重傷人だぞ。
「クッソ可愛げねーなお前。顔面詐欺かよ」
「元気そうね。はい、水。そっちのお兄さんもさっき起きて少しスープ飲んだけど……まだ痛そう。闇医者また来るから」
「あー……てかこれ何だァ?スマホならあっけど」
「念の為。セキュリティガッチガチの作ってみた、盗聴器、発信機の探知機能も兼ねてる。私にもすぐ繋がるわ」
……色々凄ェけど、何でただの情報屋がンな"セキュリティガッチガチ"な携帯作れんだよ。
顔を引き攣らせる俺に追い打ちをかけるように、女は一枚の写真を見せて寄越した。
「!!?Aお、おま…………これ、っ……」
「貴方は寝る時も気張ってたから。私を信用しなくても良いけど、少しでも緊張解いた方が早く治るわ。私の宝物、貴方たちを邪険に出来ない理由」
恐らく、幼少期の黒川イザナと……A。
「何で、お前……これ……、日本でも施設にいたのか……?じゃあ、」
「ええ、おたくの鶴も知ってる」
「………はあぁぁぁぁぁあああ……」
こんなん、俺もこいつをちったァ信じるしかねーだろ……。
黒川イザナと俺ら梵天の因果まで知っているという事は恐らく、
「マイキーの事も知ってたろ」
「面識はないけどね。ハッキングを覚えたのも、イザナから連絡が途絶えて色々追ってく内に……警視庁のデータベースに入り込んで死亡を確認した辺りからは界隈への興味と、保護のつもりで」
「これまで梵天に関する情報の依頼が来た事は?」
「数件」
「……どうしたんだ」
「潰した」
……は?
断った、じゃなくて潰した?
「思いっきり私情挟んでンじゃねーかよ!!……敵に回られるより良いけどよォ……、その依頼して来た奴らの情報を俺らが買う事は出来んのか?」
「特別にね、でも傘下と残党までもう存在しないわよ」
ポカーン。きっと今俺は間抜けなツラをしているだろう。情報屋っつーか何でも屋だろ、こいつ。エグい携帯作るし。
万が一に備えてマイキーもココ辺りも買うと言うに違いねーが、とりあえず報告、だなァ……。
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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年3月1日 0時