26. 出る杭は打たれる *rnd/ all ページ28
兄貴直属の部下が死んだ。というか、まぁユダだった訳で。三途によってあっさり粛清されたのが先週。
一人の女構成員がその空席に手を上げた。まぁ、皆昇格したい気持ちは同じだろうが、随分と勇気がある。
兄、灰谷蘭はマイキーとAちゃん以外ノイズだと宣うヤク中ピンクに次いで嫌な上司だろう。弟の俺が言うんだから間違いねー。
まず人使いが荒い。セット扱いされがちな俺だって幼い頃から今まで苦労してる。
そして気分の波が激しい。機嫌が良いと常に語尾に♡が付く、何ならエフェクトかかってる。
まぁ、人をおちょくったり煽る時もだが。
逆に悪いと理由なく殴る蹴る。満足に睡眠を取れなかった日の寝起きは最悪、だから俺は兄貴のアラームに部下を使う。
他、どのタイミングで不機嫌になるかは俺でも完璧に把握出来てない。最近だとAちゃんがあの冷蔵庫みてーな仕事部屋に篭ってる時が主。
超絶俺様気まぐれマイペース理不尽魔なのだ。
最後にのらりくらりと仕事をサボる。これに関しては俺も大概だから何も言えねー。ただ、兄貴よりマシだと思う。
「単に兄貴がタイプとかなんじゃん」
「そうなると面倒だよな〜。元総合商社勤務のエリートで、仕事は出来るっぽいけど」
「じゃあ、試しに雇えば」
どうせ、すぐ音を上げるだろう。その時点でスクラップだ。
「はじめまして。今日から蘭さんの部下になります、モブ山モブ子です」
「試用期間なー?とりあえずルヴェールのモンブラン買って来て」
「了解です」
部下の使い方おかしいよな。俺でも、多分三途でもそんな指示出さねーよ。
だが、モブ山は嫌な顔一つせず、深く頭を下げて出て行った。
それから3日、モブ山は文句一つ言わず兄貴の小間使いに徹した。
あれ、意外と相性良さげ?兄貴も機嫌良いと下の名前で呼ぶようになったし。
「3時に三途からAちゃん回収して来い」
「"Aチャン"ですか?」
「うん。ヤク千夜が3時まで仕事で借りるっつってたから」
「えっ、と……"Aチャン"と言えば伝わる物ですかね」
「あ"?Aちゃんを物扱いしてんじゃねーぞーメス豚」
「す、すみません」
今のはどっちも悪いと思う。
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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年3月1日 0時