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また、Aは周りを良く見ている。
さり気なく仕事のフォローをされている奴らも多々。クイーン・オブ・オールトレードことAの引き出しは無限だ。仕事場におらずども、頭に情報が詰まっている。本人曰く、職業病らしいが。
まさかAを解体する気はないけど、一度どんな脳をしているのか覗いてみたい。
依ってスムーズに報告書やらを提出され、俺の確認作業も捗る。
何よりマイキーの隈ーー周りに言わせれば俺のもーーが薄くなった。梵天じゃボスの機嫌次第で幹部まで死に至る。大袈裟でなく。
これまで、発作こそ起きない夜も真っ暗な部屋でただぼうっとしていたマイキー。今は眠れない日はAの部屋を訪ねているようで、その翌日はわかりやすく顔色と機嫌が良い。
寧ろ、Aの負担になっていないか心配である。面倒見の良い彼女は「大丈夫だよ」と言うに違いないとこの数週間で既にわかっているので、今更聞かないが。
しかし、弊害は起きる。決してAのせいではない。
「マイキー、今日帰って来るんだっけ」
「ああ。病棟が半壊したらしい」
数年前からマイキーは定期的に梵天お抱えの闇医者にかかっている。否、半ば無理矢理かからせていて、検査結果により栄養剤や鎮静剤の点滴、Aが来てからはあまり飲んでいないと聞いたが睡眠薬等を調整されている。
各々力はあるが、恐らくマイキーが死ぬ時は梵天が死ぬ時だ。王のいない王国は存在しない。
だから三途を筆頭とした幹部と構成員数人がかりで連行している。
マイキーは生に執着がなかったが、最終的に「好きにしろ」と嫌々ながらも連行されていた。
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作者名：カーター千之助 | 作成日時：2024年3月1日 0時
