23. 苦労人 *kkni ページ25
Aの仕事部屋が完成した。
といっても空き部屋一室の壁紙を断熱に張り替え、Aが自作したコンピューター5台にモニター9台、その他素人の俺らが触れぬべきコードや精密機器を整備させただけだが、見るからに専門家のラボだ。
三途と灰谷辺りには勝手に入らぬよう強く釘刺さねば、温厚なAもブチギレ兼ねないだろう。
何だかんだ、情報界の世界女王が敵に回したら一番怖ェ気がする。
「何から何までありがとね、ココ」
「いや、施工したの俺じゃねーし。寧ろAの手隙に俺の仕事も手伝ってくれて、マジ助かった」
「ふふ。でも、はい」
お礼!と可愛らしく渡されたのは、
「Bluetoothスピーカー……?」
「を改良したものよ。ココ、ホワイトノイズってわかる?」
「聞いた事ねーな」
「周波数に近い、かな。集中したい時、雑音をシャットアウトしたい時、リラックスしたい時、他にもボタンで操作できるように作ってあるから。ココは特に睡眠時!試してちょうだい」
「……さんきゅ」
Aが梵天に加入してから皆、特にマイキーが健康的になったように思う。
女、いやAがいるとそもそもの雰囲気が和らぐ。反社が和まなくても良いのだが、ピリピリしていると平気で死体が増産されるので、兵隊を追加してもキリがないのだ。
Aを比喩するならば、ギラギラではなく、ぽかぽかと穏やかな陽のような独特な空気を纏っている……気がする。
俗な言い草だが、文句なしに美人で可愛いしな。男なんて総じてそんなもんだろ。
そして幹部皆が、Aの作る栄養バランスの良い手料理を食べるようになった。それがまた美味いのだ。
これまでは良くてデリバリーかコンビニ。一部は酒とナッツにチーズ、俺はウィダーとエナドリ、悪くて腹が減れば苛立ってヤクキメてるような奴もいたもので。
ボスに至っては、食ってたい焼きのみ。そりゃー改善もするわ。
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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年3月1日 0時