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そのたった15分後、至ってシンプルなメイクが終わった。
「パーティーとか派手なメイクする時は呼んで、普段これ以上やると素材殺しだわ。どう？A」
「顔が明るくなった気がする。あと唇がぷるぷる？ありがとう、エレナ。ちゃんと覚えたわ」
それから緩く髪を巻かれ、Aちゃんのフルコーディネートは終了した。
エレナからはケア用品含めて一式無償で譲り受けーー払うと言ったのだが、金に困ってないしAとダチになれたのが一番の報酬だと一蹴されたーー持ち帰れない分は郵送すると言う。
「蘭、竜胆、ありがとう」
駐車場までの道中、Aちゃんがふわりと笑う。
あーこりゃー蘭ちゃんもヤベーかも。
「奴らの反応が楽しみだな〜♡」
「Aちゃん。昨日頼んだのもあるし、今までの捨てなよ。多分クローゼット入んねーぞ」
「わかった」
そのまま部下が車を走らせ、アジトに戻っていざお披露目。
「じゃーん。どうよ、Aちゃん♡」
「「「……」」」
「アホ面ウケる」
「スカートもヒールも慣れないわ。戦闘には向かないわね」
「いや、Aちゃん戦わせないから」
「A、こっち来い」
「？なぁに、ハル」
近づいたAちゃんを恐らく抱き寄せようとした三途は、隣のマイキーと鶴蝶に殴られていた。
席が悪かったなァ♡
理性的な鶴蝶が殴るとは思わなかったけど。幼馴染みだからか、大将の大切な子だからか、はたまたコイツも気があんのか。
「面白くなりそ〜♡」
ピコンピコンピコン。俺と竜胆のスマホが同時に鳴った。
それはエレナからで、いつの間にか隠し撮りしたAちゃんの写真数枚と、"私のマブ、大切にしなさいよ♡"のメッセージ。
「どうした、灰谷」
「エレナ。Aちゃんとすげー仲良くなってた」
「今時マブなんて言うか〜？」
勿論、写真は保存したけど♡
ピコン。今度はAちゃんのスマホが鳴った。
「エレナだろ？Aちゃんには何て来た？」
「銀座のマーブルに丹羽会の息が掛かったキャストがいるから、怪しい動きしてないか見て来るよう送ったら"任せなさい♡明後日寄るわ♡"だって」
「「「詳しく」」」
いくら美に磨きが掛かっても、守られるだけの女の子にならないAちゃんだった。
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作者名：カーター千之助 | 作成日時：2024年3月1日 0時
