19. 女王はカマをも落とす *hitn ページ21
賢いAちゃんに、俺らは何を言っても無駄な人種だと認識されたのだろう。
大正解♡
取り急ぎ立ち寄った店舗で購入したシンプルながら上質なノースリーブのタイトワンピースを纏い、「こんなの初めてだわ」と言いながらも体幹が強いのかヒールを履きこなすAちゃん。
ちなみに、他にも似合いそうな物は片っ端から郵送させた。
Aへの投資は経費で良い。なんて甘々なココちゃん、明日はライフルでも降るかね〜。
竜胆は既に見入ってっけど、俺らの本力はこれからじゃん？
「エレナいっかー？」
たまにうちの系列の、中でも高級店のホステスのヘアメイクを嫌々しているが。
本来の姿は、エレナ本人の癖と拘りが強過ぎるが故の完全プライベートサロンのオーナーだ。
一見、普遍なマンションの一室。
きょとん、とするAちゃんもかんわい〜♡
「蘭ちゃ〜ん♡竜ちゃんも待ってたわ……誰よ、このブ……スじゃねーな。テメーら、どっちかのヨメ見せびらかしに来たンか？」
「素出てんぞー。この子はAちゃん、うちの新人。鶴蝶の幼馴染みっつった方が信用するに早ェか」
「ずっと海外のスラムにいたから、ヘアケアとかスキンケア、メイクもほとんどした事ねーんだって。エレナ的に勿体なくね？」
「はじめまして、ゴージャスなお姉さん。つい昨日インドネシアから来たAよ。竜胆の言う通り美容には疎いの、ご指導頂けないかしら」
身長2メートル近いオカマーー本人に言ったら殴られるーーに全く動じず、丁寧かつフレンドリーな挨拶するAちゃん、すげーな。
しかも、多分Aちゃんこれ素だぞ。思わず、竜胆と目を見合わせる。
エレナ自身も付け睫に覆われた瞳をぱちくりしている、めっずらし。
「Aちゃん、貴女……。蘭ちゃん、竜ちゃん！任せなさい、この子は無二の宝石になるわよ」
「さっすがエレナ、わかってんじゃん♡」
「とりあえずヘアパックしてる間にお肌整えちゃいましょうか。Aちゃん、行くわよ」
「ハーイ」
「俺らも見てて良い？」
「……見学料取るわよ、竜ちゃん」
今日は大丈夫、経費だから♡
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作者名：カーター千之助 | 作成日時：2024年3月1日 0時
