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……悪夢でも見て、Aを訪ねたってとこか。
「マイキー、脱水になる前に水飲んで、お顔拭いて、一緒に寝よっか。ペットボトル取って来るから待っててね」
やべ、「気付いてるわよ」戸が開くなり、苦笑気味に言われる。勿論、小声で。
「スラムの人間は気配に敏感なの。ありがとうね、ハル。あと、ごめんなさい」
「ハ?」
「お昼、マイキーに話し過ぎちゃったかしら。大切なマイキーを苦しめてごめんね」
「……普段はもっと酷ェ、昼間の事もマイキーが聞いただけだ、お前は関係ねー」
すれ違い様に再び「ありがとう」と言い、ペットボトルのキャップを開けながら、Aは寝室に戻った。
寧ろ、安定剤だろうが。
マイキーとAが一緒に寝る事にどこかモヤモヤする気持ちには蓋をし、一先ずはマイキーが落ち着いた方に安堵する。
Aも、恐らく無事でいるだろう。
一時間後、悪いと思いながらもAの寝室を開けた隙間から覗けば、仲良く抱きしめ合い眠るマイキーとAの姿。
"気配に敏感"なアイツに気付かれぬよう、静かに閉めた。
「マイキーは王だ。命の恩人が姫ってのも悪くねー」
二人の為なら、喜んで地獄に堕ちよう。もう片道列車ン乗り込んでっか。
でもよォ、柄にもなく芽生えた恋心くらい許して欲しいもンだな。
「とりあえず、んーーーんんはっ♡クソ谷兄弟はスクラップだァー!!!」
普段Aが飲まねーワインがあったし、大凡まーたロクでもねー理由でちょっかい出しに行ったんだろうな。
「クソがッッッ!!!」
隣室で徹夜中の九井に「うるせー!」と怒鳴られるまで数十秒の話。
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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年3月1日 0時