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16. 着飾りたい *hitn ページ16

命拾われた三途はしゃーねーとして、あのマイキーまで懐柔した梵天新加入のオンナ、もといAちゃん。

 懐柔って言い方も違ェか、だって俺ら全部話聞いてたし。マイキーの問いに嘘答えてもなさそうだったし。

 おまけに、証人はAちゃんの幼馴染みである鶴蝶。


「あれ、ハニトラじゃねーよな?」


 竜胆さえも疑う、とまではいかないが、現状を受け止めきれていない状態。俺もう笑いそう。

 あ、蘭ちゃん良い事思い付いちゃった。


「Aちゃん、ココちゃんに好きなん買えってノーパソ渡されて今部屋に一人じゃん」

「うん」

「俺らの出番じゃね?」


 まぁ、つまり。ただAちゃんを着飾ってみたいだけ。


「竜胆はおバカちゃんだなー、忘れたんか?ずっと内部から梵天護ってた履歴もココちゃんと見たし、そもそも敵なら瀕死の三途なんて喜んで放っとくだろ」

「でも、Aちゃんめちゃくちゃ可愛いし」

「それをもっと可愛くしてやんの。今日もTシャツに短パン、加えてほぼすっぴんだったろ?見繕って、同時に仲良くなっちまおうぜ〜」

「……楽しそう、ノった」


 二人でAちゃんにあてがわれた部屋まで歩み、ノックすれば「ハーイ」と可愛らしい声。


「あら、蘭と竜胆。どうしたの?」

「Aちゃんがネットショッピング苦戦してないかな〜って」

「これ、土産」

「お気遣いありがとう。最低限で良いから、特に困ってはないかな」

「まぁまぁ、Aちゃんと純粋に仲良くしたいし。一緒に選ばせて〜」

「俺らセンス良いよ」

「ふふ、自分で言うの?上がる分には構わないわ、どうぞ」


 まだほとんど家具のない部屋ーーココがベッドとソファーだけでも、と金に物を言わせ当日搬入させていたがーーに踏み入れる。


「なーにこんなやっすいサイト見てんの」

「だから最低限で良い、ちょ、」

「大っぴらにはしねーけど、梵天の幹部同格として外歩くんだぜ?窓の外見てみ、パンピーでさえあんなおしゃれしてんのに」

「Aちゃん元が可愛くてスタイル良いのに勿体ねーよ。それに安い服はすぐダメんなんだろ、実際安くねーの」


 俺らの押しに負けた、というよりやや呆れた風のAちゃんは、素直に俺と竜胆の間に座りパソコン画面を覗いた。


「Aちゃん良い匂いする、シャンプーとか拘りあんの?」

「全くないよ。あ、でもせっかく日本で湯船が独立しているから、バスボムみたいなのが欲しいわ」

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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年3月1日 0時

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