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首領に挨拶行くぞ、と無理矢理Aを引き摺り、マイキーの自室へ向かおうと広間を通れば、マイキーは既に鶴蝶と九井とそこで待っていた。
幹部ほぼ勢揃いじゃねーか。
「A……っ」
「鶴、久しぶり」
俺の前でも見せなかった穏やかな笑みを浮かべるメイ。
気に入らなくて「先に首領だ」と再びAの細腕をぐい、と引けば「我が物気取りか〜？」と冷やかす声が背後から聞こえた。
そろそろ一回スクラップにすっかァ、コイツら。
「首領さん、こんにちは。勝手に失礼、情報は持ってるわ」
「構わない。後、マイキーで良い。今回の取引では助かった、三途たちの治療費に合わせて報酬も支払う」
「ありがとう。マイキーと一緒にTaiyakiも楽しみにしていたけれど、隈が酷いから治ってからね」
残念、と形良い眉を下げるAにそれがマイキーのデフォルトだと喉まで出かけた言葉を飲み込む。
そして心なしかマイキーの表情に珍しく色がある。それも、どこか明るい。
「治らなくても食べる。A、こっちがココ」
「……通話では何度か話したな、九井一だ。本当に世話になった」
「Aよ、苗字はない。また力になるわ」
にっこり笑ったAを穴が開くほど見つめているのは鶴蝶だ。他の野郎共もだが。
「A、泊まる場所は？」
「暫くウィークリーに滞在するつもり」
「鶴蝶と積もる話もあるだろう、空き部屋を好きに使うと良い。たい焼きも買いに行かせる、一緒に食べよう」
「マイキーは栄養を取って、まず寝て。心配だわ」
「今夜はちゃんと寝る」
Aは持ち前の社交性ですぐに幹部連中と打ち解けやがった。
良い関係を築けそうだと満足する反面、ちょっと、いやかなり面白くねー。
でもAといる事でマイキーの健康状態が改善するかもしれない。俺は忠誠を誓った王に闇に染まれとは言ったが、壊れろなんてまさか願っちゃいねーし。
たまに見てらンねーくらい身心崩壊する日もある。暴れるなんてまだ良い方、酷い過呼吸に嘔吐、栄養失調に脱水、その他諸々。
「マイキー、Aはこう見えて料理も上手いンす」
「どう見えてるのよ」
「今度食ってみて下さい！！」
「……オムライス、旗」
「蘭ちゃんも食べた〜い♡」
「何、三途とお前の部下ずっとAちゃんの飯食ってたの？死ねや」
やっぱりコイツらスクラップだわなァ。
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作者名：カーター千之助 | 作成日時：2024年3月1日 0時
