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「ここは安全よ。混み入った話だろうから、私は出てるわね」
気を利かせたらしい女だが、それは困る。焦って細い腕を掴んだ。俺だって今の状況なんてさっぱりなんだ。まだ頭も回らなきゃ、満足に身体も動かねー。
俺に腕を引かれるまま、ぽすっとベッドの端に腰掛けた女を確認し、コールする。腕を伸ばすと点滴の管が張った。
《……遅ェ》
「すみませんマイキー！！、、ってー……五日前、目的地まで着いたんすけど、敵襲に撃たれ……「違うわよ」……は？」
「貴方たちが倒れてた側のドームみたいな洞窟。あれはネシア一のスラムで皆が訳ありのホームレスの集落、仲間以外が縄張りに近付けば撃たれる。家族のように暮らしてるんだもの、当然でしょ」
「当然じゃねーわ！！！ッテテテ……」
《……誰だ》
「す、すんません…俺らを闇医者に見せたらしい日本人……？お前、誰だァ？？」
目の前の女に溜息を吐かれる。電話越しのマイキーも同じ反応だろうと思うと撃たれたとこより胃が痛ェ。
《スピーカーにしろ》
「ッ、はい！おい女……うちの首領がお呼びだ、身元から話せ！！！」
「何でそんなに偉そうなのよ、友人料金でも相当頑張ったのに……はいはい。私はA、コタ在住。日本人の情報屋」
「……ん？何でお前は俺らが撃たれたとこでも無事だったんだ？」
「認められてるから。ここ数年間、彼らにご飯届けてるのも私。MAMAって呼ばれてる」
「ぶ、ママってツラじゃねーだろ！！」
《三途黙れ……「っス」……何でインドネシアのスラムに住んでるの。いくつ？》
「昔、旅行だって親に騙されてここに捨てられた。今25……この質問、意味ある？」
「首領に文句言うな……ッてー！！マイキー、このクソアマ、今俺の傷口を！！！」
《お前が悪い》
マイキーに叱られた。女、もといAを睨むもどこ吹く風で、端的かつ丁寧に事情を説明していた。
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作者名：カーター千之助 | 作成日時：2024年3月1日 0時
