ノット・フェア４ (ページ8)

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「向き不向きがあるからイザナのパターンと私のパターンで試して欲しい。イザナは宿題破り捨てて、学校サボれば喜んで遊びに連れ出すでしょうね。TENJIKUはそれも許すよ」

「……でも、」

「ただ私は大人になって義務教育を受けてみたかったと思っているから、カケルの不安を取り除きたい。宿題は、隣で一緒に考えて"出来そうじゃん"って一問解くだけであの子の緊張はだいぶ軽くなる筈。目標を"提出する事"から"やり遂げる事"に変えてみようよ」

「"やり遂げる事"……ですか」

「毎日熟す量が増えたら、学校に提出出来なくても職員が都度褒める。あの子は地頭が良いし根気もあるから、やり遂げるよ。今日サボったのはダイキの誕生日プレゼントをこっそり買うっていう明確な理由があったから。お小遣い帳や趣味、行動パターンからあの子がサボる日はわかる筈。怒られるから言わないだけ、危ないから同行してあげて」

「わかりました！」

「お説教っぽくなってごめんね、明後日鶴ちゃん来るから様子見て貰おう。私もゆっくり話を聞きに顔出す、カケルの入所からのデータも各々再確認しておいて。あ、引き継ぎよろしく」

　解散！とにっこり笑んだAさんが手をひら、と振るも職員さんは僕が気になるのか、後ろ髪を引かれるように何度も振り返る。その様に、Aさんと顔を見合わせ苦笑い。

「もぉ〜戻りなさいって」

「だって！統括と大谷翔平さんのニュースこそ見ても、まだ現実味ないんですもん」

「それな〜！！実物もかっこ良いし、俺らにA統括はやっぱ無理かぁ」

「お母さんですか？そっくりですね」

「……三人さ、幹部で誰が一番怖い？」

「「理事！」」「武藤さんかな」

「よし。次までにカケルに1ミリも変化なかったら、イザナとムーチョに言い付けてやろ〜」

「「「統括！？」」」

「翔平くん、ミヨさん。守着いたって、行きましょ！皆お疲れ様ー♡」

　職員さんにあっかんべ、と可愛らしく舌を出しては僕と母さんの手をそれぞれ引き、来た道を戻るAさん。「あー、すっきりした！」やっぱりモヤモヤしてたんだね、僕たちを振り返るAさんの表情はいつものように晴れやかだった。