ノット・フェア４ (ページ6)

今日:19 hit、昨日:1 hit、合計:6,940 hit

＊ページ6

手を繋ぐAさんとカケルくんを先頭に母さんと並んで中華街まで歩く。「何で獅音嫌いなの？」「A以外皆怖いけど……顔かな」「アユミ先生もリナ先生も？」「うん、凄い怒る……」えー、と考え込んでしまったAさんの頭は今仕事モードだろうな。

「大谷翔平、選手は、何でAたちといるの？」

「えっ、と、僕はAさんとお付き合いしてて」

「……彼氏？」

「うん」

「皆が言ってるの、本当だったんだ」

　俯いてしまったカケルくんに首を傾げる僕に「Aさんの事が好きなんでしょう」と耳打ちする母、なるほど。童心に申し訳ない事をした。「どうしたの？ダイキのプレゼント買いに行こうよ」とAさん、やっぱり鈍いな。

「カケルくん、お小遣いちゃんと貯めてるのね〜」

「……ん」

「皆使い方が違って面白いんですよ！カケルと仲良しのダイキはガチャガチャで月初日に使い果たす、ね？カケル」

「あいつマジでそう、誕生日月の＋2,000円もガチャガチャとJリーグチップスに全部すぐ使ってた！！」

「えー！？あの子お小遣い帳にJリーグチップス書いてなかったぞー」

「プロ野球カード集めたらAがいらないのくれるのに」

「今その話はやめようか、カケル」

「良いよ、Aさん。どうせベイスターズ以外でしょ」

「……知らないの、大谷選手。A横浜の次に楽天が好きなんだよ。大谷選手元々日ハムだから、大谷選手が楽天に打たれたらきっと喜んでたよ」

　勝ち誇った顔で僕を振り返るカケルくんに爆笑する母、Aさんは「こんな形でカケルの満面の笑みを見たくなかったわ」と項垂れている。

「あとはね、ラグビーはフィジーを応援してる。セレヴィがテンジクに来た時いっぱいほっぺにチューされてた。サッカーはね、多分A詳しくないけどロナウドがラブラブだった。バスケは……「牧のキラカードあげる！」……やったー。A、大谷選手怖いんだ。彼氏なのに」

「ぷ、ふふっ、カケルくん面白い子ね〜」

「母さん笑い過ぎだから。Aさん、ボランティアに来るアスリートと"ラブラブだった"んだ」

「彼らはスキンシップが激しいだけ、アーティスト陣も」

　何だかんだ賑やかな買い物を終え、中華街から施設までは運転手さんを呼び戻すまでもないのでタクシーを利用した。