ノット・フェア４ (ページ5)

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「皆と同じように、彼らも貴重な親子の時間なんだ。君たちはカメラ向ける人に注意する係！手が空いた人は、私と一緒にSPのつもりでよろしくね」

「「は、はい！」」「任せて下さい！」

　にっこり、笑顔のAさんに老若男女がノックアウトされたようだ。凄過ぎ、僕と母さんは同時に吹き出す。まぁ、Aさんとじゃなきゃ、こんなところ親孝行にも来ないしな。「ありがとう、Aさん」「いいえ」その後は騒がれる事なくーー時折「撮らないで下さい！」等Aさんに雇われたSP(仮)の声が聞こえたがーー主に母が興味を示した店に入ったりまったりと過ごし、Aさんおすすめのアップルパイ専門店で一平さん夫婦と竜胆くんたちへのお土産も手に入れた。

　中華街まで歩こうか、と話していた時、「あれ」というAさんの声と「あー！」という子どもらしい声が重なった。

「A！！今日来る日だって、俺聞いてない」

「予定なかったもん。それよりカケル、学校は？」

「あっ、……その、ご、ごめんなさい」

「怒ってないよ。でも中学生になるまでの一人歩き、特に繁華街は危ないから心配はしちゃうな」

「うん、Aごめん、俺、」

「ふふ、ダイキに誕生日プレゼント買いに来たんでしょ。先生には私から話しておくから、私たちと一緒に行こっか」

「……その人たち、誰」

　話を聞く限り施設の子どもなのだろう。少年はマスクに帽子姿の僕と母を視認してはAさんの後ろに隠れ、わかり易く怯えている。Aさんを見遣ると、僕を見てスマホ画面を叩いていた。

"May: 家族、特に女親に敏感な子なんです。翔平くんのお母様でなく、私の友人だと紹介して良いですか？"

"大谷ミヨ: もちろん。💕"

"Shohei O: 全然いいよ👍僕は普通に自己紹介していいの？わかるかな"

「怖いお姉さんじゃないよ。私のお友達、ミヨさん！隣のお兄さんはわかる？」

「ううん」

「こんにちは、大谷翔平です」

「えっ……A、本物なの？」

「そうだよ。ミヨさん、翔平くん、改めてTENJIKU横浜のカケルです！サッカーが上手いんだよねー」

「う、うるさいA！まだAにドリブル勝てない」

「へへん。百年早いっての、獅音になら勝てるんじゃない」

「げ……俺、斑目先生嫌いだし」

「そうなの？とりあえず行こう」

"May: 本当にすみません🙇‍♀️"

"Shohei O: 寧ろ楽しい🤣"