ノット・フェア４ (ページ3)

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今僕に振るの！？部下らしき人を数人引き連れて戻って来た竜胆くんに助けを求めようと目配せすると「俺味方しねーよ、同意見だし」とぶった斬られた。酷い。

「翔平くん、私といてミヨさんとユキさんの順位が下がる？」

「え？対象として違うよ。まぁ、優先は当然Aさ、」

「空気読んで！蘭、竜胆も私は何も変わらない。私だって寂しくなる事あるよ。少年院から出て来たら二人とも私より背が高くなってるわ、力もどんどん強くなるわ……きっと今ステゴロじゃ勝てない。守らなきゃって思ってたのに、体も会社もどんどん大きくなって。成長が嬉しい反面、置いてけぼりな気持ち」

「……姉ちゃんも役員なんだから、翔平もテンジクも放ってこっち専念すりゃ、」

「それは無理ね。ていうか、何であの子殴ってたの？八つ当たりだけじゃないでしょう」

「……翔平にアヤ付けられた」

　え？僕がつい素っ頓狂な声を上げると、Aさんは眉を下げて笑いながら「そんな事だろうと思った」と蘭くんの頭を撫でた。

「翔平、さっきのも今お前の護衛任されてるゴリラも、昔から姉ちゃんに妄信的な部下。蓮だって内心面白くないんじゃね、姉ちゃんの男」

「はい。ただ、あのバカみたいにAさんの意に反する事はしません」

「ゴリラか忠犬かどっちかにしてよ」

　安堵の息を吐く竜胆くんとケタケタ笑うAさん、つまり蘭くんは僕の為に怒ってくれたのか……明らかにやり過ぎだけど。血まみれで連れて行かれた人、生きてるの？

「蘭くん、竜胆くんもいつでもフライトチケット送ります」

「……ファーストな」

「LA以外のも寄越せよ！」

「竜ちゃん、それは自分で手配しなさーい」

　酷い事言ってごめん。今度は蘭くんが弱々しくAさんに抱き付き、無事仲直り？は済んだようだが、Aさんは以後数日この兄弟に軟禁される羽目になった。

ーー「翔平、俺は姉貴としても"女としても"Aちゃん愛してっから♡」
ーー「……えっ」
ーー「蘭、翔平くんも置いてくよー？」