ノット・フェア４ (ページ13)

今日:3 hit、昨日:1 hit、合計:6,924 hit

＊ページ13

「翔平くん？どうしたの」

「あー……ちょっと嫌だなって。でも友達付き合いも大事なのはわかるから、」

「じゃあ行かない、断る」

「えっ、でも間違いなく僕の我儘だし、信用してない訳じゃなくて、Aさんがモテるのが不安なだけで。僕がAさんの交友関係を狭めるのも違うと思う。寄付してくれた、とか？」

「たまにしてくれてはいるかな。あの子ね、インスタのフォロワー数が日本人で二番目とかに多くて。そこでわざわざ本の宣伝をしてくれた御礼に顔出すかなーくらいだから平気」

「そっか。ごめん、心狭くて」

「全然良いよ。今後、気にして野球に集中しにくくなったりしたら嫌だし。仕事でどうしてもな時は、離れても前もって言う事にする」

「……ありがとう、Aさん」

　ぜーんぜん。Aさんはさも僕を優先して当然かのように笑ってくれる。これまで何度も嫉妬したし、今後もきっと。それでも僕を安心させようとしてくれる気持ちが嬉しい。

「Aさんは嫉妬する？」

「時と場合による」

「んー、僕が妹分？みたいな女性と付き合いでご飯行ったり」

「ふっ、しない」

「つまんない。何ならする？」

「んー……他の誰かとこうやってソファーで向き合ってお話してるの想像してみたら、ちょっと悲しくなった」

　形良い眉を下げてきゅ、と唇を結ぶAさん。まずあり得ないけど、ちょっと嬉しく思う僕は"良い性格してる"んだろう。「しないよ、する訳ない」「……うん」可愛い。不良時代の部下さんに対して叱責したり、施設の職員さんを正しく咎めたりする時と本当に同一人物かと疑わしいくらい、いや、そうなんだけど。何なら凛としてる時も好き。

「Aさん愛してる」

「うん」

「ふっ、ごめん、嫌な想像させた。僕もAさんが誰かとこんな寛ぐ姿、想像したくない」

「……その割に楽しそうだな」

「っ、はは！違うから、可愛いなーって。早く奥さんにしようって計画中。入籍日は決めてる」

　ぽかん、と口を開けるAさんは、それこそ彼女の良く言う"アホの子"みたいである。まん丸に開かれた紫ににやにやした僕が映っていて更に残念だ。