ノット・フェア４ (ページ11)

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「先に蘭たちに会わせたら、あの子たち自分が親だって嘘教えそうだもんね」

「あっはは！そうね、彼らがパパになっちゃうわ。私はいつでもサポートに行きますよ、英語出来ないから病院では役立たないでしょうけど。翔平、素晴らしいお嫁さんを選んでくれてありがとう」

　小さくだが、母が僕に頭を下げるのは初めてかもしれない。えっ、うん。幸せだけど、もう感極まりそう。

「Aさんのお腹大きくなる前に結婚式もしたいし、目標は、」

「まず食べよう、翔平くんのお父様にもまだご挨拶出来てないんだから。ほら、ミヨさんも！難しい事はミズえもんとうちのスタッフにお願いしちゃうし、楽しく考えよ！」

　言っては、フィレ肉のグリルを「んー♡」と頬張るAさんは本当に逞しい女性だ。彼女と出会わなかったら、僕は一生こんな幸せを知らないまま生きていたかもしれない。

「美味しかったねー！お店勝手に決めたのに、またまたご馳走になりました」

「これからは一切Aさんに払わす気ないから。確かに美味かったけど、正しいマナーもシステムもわかんないから他の人とは来れないや」

「式典とかでの作法が分かってれば充分でしょ、イザナなんて会食でもフォークで掻き込んで"育ち悪いんで"って開き直ってるよ」

「竜胆くんたちもだけど、テンジクチームも聞く限り強過ぎ。Aさん、今日は流石に帰さないから」

　タクシーの中でも最後までAさんと仲の良く談笑する母をホテル前で下ろし、マンションに戻る。この間ショッピングから帰った後、きちんとAさんこだわりの洗面、洗髪用品と部屋着もネットで揃えたから「もう二人の家になるね」「また蘭、いや次は竜胆が荒れないように往復するけど」近未来の義弟が手強い。っていうか蘭くん、意味深な事言ってたような。

「カケル大丈夫かな」

　お土産のアップルパイを冷蔵庫に入れながら零すAさんに「大丈夫だよ」と返す。無責任なんかじゃない、彼にはAさんがついてるから。

　そう、僕にもね。