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エンゼルスft. Team of 卍。 ページ43

ホームランこそ打てたが、エンゼルスは一点差で負けてしまった。勝ちに拘る僕はやはり悔しい。

 そこに球場スタッフに連れられた三人が現れ、Aさんは花が咲くような笑みで「お疲れ様ー!"白熱の試合、素晴らしかったよ"」と僕や他の選手を労ってくれた。白無地のタンクトップにデニムのショートパンツにスニーカー、エンゼルスのキャップは買ってくれたらしい。可愛い。


「おーたに、すげーじゃん」


 気付いたらAさんの手を引き僕の目の前に来ていた佐野万次郎選手。その後を追って来たのがメカニックの龍宮寺さん、見た目の迫力に反して物腰の低い好青年だ。新婚さんらしく、妻にサインを貰えないかと問われたので快諾した。

 佐野選手はまたもAさんをぐいぐいと引き連れ他選手たちと何かを話している。チームメイトはそれぞれAさんと話したいようだが、佐野選手がレーサーだと知った途端に握手やサインを求め出した。全く、調子良いなぁ。


「お前ら強い?」

「"乱闘でウォルシュは最強だ"」

「俺の蹴り止めれる?」

「やめようね、マイキー。"彼は総合格闘技のヘビー級世界チャンピオンの寺野サウスに勝ってる無敵なの、皆マイキーに喧嘩売っても買ってもダメよ"」

「"それは怖いな!"」

「じゃあバイク好き?」

「"レースを観るのは好きさ!"」

「"怪我が命取りだから俺たちは乗らないけどね"」

「つまんねーの。じゃあお前らの誰かとキャッチボールしてみたい」

「"キャッチボールしたいみたい"……マイキー出来るの?」

「やった事ねー、けど俺何でも出来る。カッコ良いからAちゃんと見てて」

「マイキー……試合後の選手にやめとけ、失礼だぞ」

「ケンチンに言ってねーよ」

「僕で良ければやりましょうか?」


 訳しながらも困り顔のAさんに助け舟のつもりで言えば「おーたに!!」と子どものように喜ばれた。

 一平さんがグラウンド使用許可を取っている間、小声で謝って来たAさんに「デートしてくれるんでしょ」とイタズラに返してみるなり、笑いながらもしっかりと頷かれた。


「大谷選手とAちゃん、カップルみたいっすね」


 佐野選手が他選手のグローブを借りに行っている間、龍宮寺さんがふと放った一言にぴく、と反応したのは僕だけで、Aさんは「大谷ファンの女性に刺されちゃうね」とケタケタ笑う。

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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年1月1日 0時

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