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「へー！スポーツに長けたご兄弟なんだろうなぁ。友人にYouTuberで明司兄妹っているんだけど、そこもそっくり」
「あ、竜胆くんたちのインスタにいつもコメントしてる、何だっけ……ハルチヨって人？」
「そうそう、春！妹が千咒。昔はうちの二人と相性悪かったから、今仲良くやってるなら良かった」
「いや、Aさんが載ってる時だけめちゃくちゃ反応してる……ほら」
「ん？っ、あははは！マイキーたちもいる」
「皆Aさん好き過ぎない？って思って見てるよ」
「有り難いねー。私チームにも入ってないのに」
お酒のせいか、Aさんはいつもよりふにゃりと笑う。
「女性と二人とか最後母親以来だから正直ちょっと緊張してたけど、何か僕平気っぽい。Aさん話し易いのかな」
「自分じゃわからないや。楽しい席ではIQ下がる自覚はある」
「ふっ、何それ。じゃあ今楽しいの？」
「楽しいよ！」
メインのステーキが到着すれば「わー！」と無邪気にはしゃぐAさん、ウエイターにも何か言っていた。
「何て話したの？」
「見るだけで美味しいね、って言ったら僕が保証するよって。ウエイターさんに保証されたところでだな」
「ははは。でも僕も一回来て美味しかったから食べて、食べて」
「うん、いただきます！翔ちゃんって敬語外すとノリが竜ちゃんっぽいね」
「翔ちゃんって……そう？勝手に気が合うなーとは思ってるけど。蘭くんよりわかり易いから」
「竜胆も思ってるよ。蘭は繊細で警戒心強いからなぁ……飄々とした鎧被ってるけど、たまに心配になる。んーーー♡」
「はは、美味いでしょ。前来た時は先方の女性のアプローチにイラッとしちゃって味半減でも美味かったし」
「美味しい〜！そっかぁ、そりゃモテるでしょうね。翔平くん楽しいから」
「いや、地位とか名声とか年俸とか……上っ面だよ。僕こんな素見せてないもん、仕事の場だったし」
「それも努力して得たものだから内面とリンクしてるし、滲み出てるんじゃない？本っ当に美味しい、今度誰か連れて来ようっと。竜胆は間違いなく気にいるな」
「……じゃあ僕とまた来てくれない？」
「え、うん。喜んで！ワイン頂いて良いですか？」
良いですよー！と自分で返事している。良いんだけど。何この可愛い三十歳。
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作者名：カーター千之助 | 作成日時：2024年1月1日 0時
