癖の強いお兄さん。 ページ4
僕がLAに戻る日の前夜、竜胆くんからホムパしようぜ、と誘われた。本来ホームパーティーの略らしいが、今は互いにホテルだからホテパだった、とご丁寧に訂正LINEが来た。正直どうでも良い。
どちらの部屋にするかとなったところで、まだ数日滞在する竜胆くんの部屋の方が都合が良いだろうと促してくれたので、お邪魔する事にした。ほんの興味で、年子らしいお兄さんにも会ってみたかったし。竜胆くんを疑う訳じゃないが、万一に備えて一平さんも一緒に。
僕と同じスイートなので一つ下の階を歩く最中、一平さんが「20代半ばで経営者も凄いね」と言った。確かに、僕はまだ竜胆くんの人柄やぼんやりした背景しか知らない。
一平さんがチャイムを鳴らせば開けられたドア、竜胆くんは既にほろ酔いなのか、楽しそうな笑顔で「兄ちゃん来たー!」と扉の向こうに投げ掛けた。
「わかったから大声出すなー?」
奥から現れたお兄さんは竜胆くんより背が高く細身、顔の小ささや整った造りは竜胆くんに良く似ていてモデルのようだ。「竜胆に聞いてる、こいつ煩いからとりあえず入ってー」「兄ちゃんのが煩い」「は?もっ回言ってみー」という訳で、とりあえず上がらせて貰う事にした。キャラが濃い。
「調べたけど翔平サン飲まないんだよね?下でソフドリ一式買って来たけど」
「俺に行かせたんじゃん……」
「わざわざすみません、ありがとうございます。竜胆くんも」
「付き添いのオニーサンは?」
「あ、翔平の通訳の水原一平と申します。遠慮なく自分はお酒頂こうかな」
「あー通訳、竜胆何言ってっかわかんねーだろうからヨロシク一平サン」
「何でだよ!!」
「お前は早く用意しろ。で、スタッフ呼べ」
ほんっと人使い荒い。と文句を言いながらも動く竜胆くんを他所に「灰谷蘭でーす」と名刺を差し出してくれたお兄さん。「ご両親はお花が好きだったんですね」「顔もロクに知らねーわ」「……すみません」「イーエ」にこにこ。わかりやすい竜胆くんに反して蘭くんは読めない。でもそうか、ご両親がいない……のか?
「翔平、イッペーどれするー?兄貴も」
「俺アルマンド、黒。一平サンイケる口?」
「あ、はい!高価なもの恐縮です、頂きます。翔平はとりあえずお茶だろ?」
「うん。ありがとうございます」
「げ、翔平こっちのお茶甘くね?俺ビール」
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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年1月1日 0時