ご馳走様です。 ページ26
テンジクの活動記録と子どもたちとの思い出アルバムは、添えられたメモを含めてAさんの愛情に溢れていた。日本含むいくつかの施設には竜胆くんたちも顔を出した事があるらしく、こいつはあーだこーだとエピソードを聞かせて貰っている時「出来たよー!」とAさんの声が響いた。
僕が残しにくいだろうから、と大皿で取り分ける形にしてくれたAさん。十品目以上テーブルいっぱいに並べられる美味しそうな和食に蘭くんは「立食パーティーみたい♡」とAさんの頬にキスをし、竜胆くんは「姉ちゃん俺のトレーニング用に栄養学も勉強したんだぜ」と得意げに放った。
「多めに炊いたから、遠慮しないでね」
見れば炊飯器には白米、コンロの大釜には鶏五目が炊かれていてその香りに「わっ」と声が漏れる。竜胆くんのお気に入りだそうだ。もう一口にはお味噌汁。
皆で好きにおかずを盛り、「いただきます」と声を揃えた。「今日だけお前灰谷翔平」と斜め上な竜胆くんに笑いながら肉巻き豆腐を頬張る。美味い。
竜胆くんは高タンパクに拘っているらしく蓮根ハンバーグやタコの和風マリネを好んで取り、蘭くんは早くもだし巻き卵でビールを煽っていた。
「僕も最近自炊始めたんでレシピとか知りたいです」
「気に入ったのがあったら教えてね」
「姉ちゃんいない間俺も作ってるよ。兄ちゃん文句ばっか」
「感想だろ〜?」
「竜胆は昔から良く手伝ってくれるもんね」
「うん。翔平、次日本は地元帰んの?」
「年末年始は一応その予定だけど」
「ふーん。何が面白いとこあんの?岩手だっけ」
「ないよ。家族に顔出すだけ、友達もほとんど地元出てるか結婚してるし。後は都内で過ごすかな」
「なら次はそん時だな。六本木はセキュリティー固めるから任せとけ」
「お前だけのもんじゃねーかんな〜?蘭ちゃんの駒も使ってやるよ」
「足洗った人だけにしなさい。大谷さんおかわり持ってくる?」
「あ、お願いします。鶏五目食べたいです」
40人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年1月1日 0時