自覚、そして再会。 ページ23
「……何て送ったら良いのかわかんなくて。竜胆くん帰国する前一回は会おうって話にはなってるから明日のデイゲーム後か明々後日。Aさん帰国なら僕もシーズン終わり帰ろうかな」
「俺のスケジュールにも関わるんだからちゃんと決めて下さい。でもまぁ、自覚したんだ?」
「……そうだね。二回しか会ってないし曖昧だけど、竜胆くんたちのインスタ遡ってAさんの写真見つけたら嬉しいし、好きなんだと思うよ」
「やっと大谷翔平のお眼鏡に叶う女性が現れましたか。Aさんなら安心だ」
結局竜胆くんたちが帰国する前日、Aさんの家にお邪魔する事になった。そしてわざわざ迎えに来てくれるらしい。僕の車も一平さんの車もパパラッチにバレてるんじゃないか、自分が助手席にいたらカムフラージュになるだろうと竜胆くんが進言してくれたのだ。自由で俺様だけど、身内には気を遣える優しい友人である。
当日、時間ぴったりにインターホンが鳴った。
「翔平!後ろ乗れって」
黒いスポーツカー、何ていう車種だろう「シボレー」……口に出ていたらしい。
「Aさん、わざわざすみません」
「いいえーとんでもない。本当に近くてびっくりしちゃった」
艶やかな黒髪をラフにクリップで留めたAさんはシンプルなタンクトップ、オフモードなのだろう。助手席に乗り込んだ竜胆くんも同じく完全に部屋着だ。
「マーシュに聞いてびっくりしたよ」
「だから翔平トレーニングの時間だったんだって。髭すげー良い奴だね、姉ちゃんいないと会話出来ねーけど」
「僕も一平さんいないとちゃんとした会話は出来ないよ。Aさんの事気に入ってた」
「マジ?いくら髭でも無理。野球選手、手早そうだし」
「はは、そんな事ないと思うけど。竜胆くんたちは誰でもダメじゃん、Aさん」
「まぁね」
僕たちがそんな会話をしていても、Aさんはただクスクスと笑うだけ。
「竜ちゃんはまずマーシュの名前を覚えなさいよ」
「本人にもお前髭で良いだろって聞いたらイェアって言ってたから良いんだよ」
「訳す私の気持ちにもなって」
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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年1月1日 0時