ノット・フェア １

＊ ページ22

"Shohei O: インスタからマーシュに頼みなよ。蘭くんとAさん何が言ってた？"

"竜胆: 🙊"

"竜胆: 〈ガウンを着てグラス片手にポーズを取る蘭の写真〉"

"竜胆: 〈パジャマ姿のAが球場パンフレットを持って笑っている写真〉"


「……可愛過ぎ」


"Shohei O: 蘭くん👍Aさん可愛い"

"竜胆: しってる"

"Shohei O: だろうね😆


　この仲良し姉弟の時間を邪魔するのも野暮だろう。


＊


「"昨日Aに会ったよ"」


　デイゲーム後、マーシュが爆弾を落とした。一平さんまで驚いているようだ。


「"何で？"」

「"翔平が竜胆に俺にインスタからメッセージするよう言ったんだろう。サイン貰い忘れたって来たんだ。だからいつでも良いよって返して昨日俺の家の近くのカフェまで竜胆を送迎してくれただけ、竜胆に手土産を持たせてね。何て丁寧で華麗な女性だ。連絡先もゲットした"」


　一平さんに促され竜胆くんのインスタを見たら、竜胆くんがマーシュの髭を触るツーショットや家でマーシュのサイン入りユニフォームを着せられたAさんを蘭くんがバックハグする写真等が載っていた。竜胆くんをフォローする他の選手もちゃっかりLikeやコメントしている。


「"でも俺がリーガーのマーシュだと知ってサインも写真も求めて来ない女性は初めてだったよ。日本人は謙虚なのか？"」

「そんな事ないよ、マーシュに興味ないんじゃない」

「翔平……全く」


　呆れながらも訳してくれた一平さん、マーシュはただ楽しげに笑って去って行った。


「竜胆くんに文句言ってやろ。僕のオフのルーティンも知ってるから気遣ったのかもしれないけどさ」

「いつ帰るんだっけ？」

「四日後、もう出かけ尽くしたって。黒川さんや昔の仲間にも会って後はAさん充電するだけらしい」

「ははは。Aさんも再来月だかフィリピンに寄って帰国するのにね」

「え、そうなの？」

「黒川さんが言ってたよ、Aさんは施設回る以外に講演とか支援者への挨拶に加えて執筆の話とかも来てるらしいから、今回は割と長い日本だって。翔平全然連絡取ってないの？」

自覚、そして再会。→←＊

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