検索窓
今日:66 hit、昨日:53 hit、合計:21,900 hit

ページ18

1-0の六回表ツーアウト一塁、トラウトから僕に回って来た。一打席目は二塁打、二打席目は敬遠で終わったので今度こそ打つ。三人、いや、Aさんの方は見ない。


 ーーボール

 ーーボール

 ーーボール

 ーー外側にはみ出た球を打った。


 湧き上がるスタジアム、ホームベースを踏む瞬間「大谷さーん!!!」、会食で一回きり聞いたのは、確かにこんな声だった。

 兜を被せられる俺を竜胆くんに「年中こどもの日」と揶揄われる事になるのだが、竜胆くんにだけは言われたくない。

 僕の四打席目が敬遠に終わるも3-0でエンゼルスの勝利だ。

 一平さんに竜胆くんたちを呼んで来て貰うよう頼み、シャワールームへ向かう。良かった。三人は、Aさんはどんな反応してくれるだろうか。


「お邪魔しまーす。"皆さんおめでとう!素晴らしい試合でした"、大谷さん素敵だったよー!!」

「翔平!!姉ちゃんに聞いた、何だよあのケイエンしてくる奴ら」

「竜胆ずっとキレてんじゃんウケる」


 竜胆くんが胸ぐら掴む勢いでズンズン僕に向かって来る。あー、竜胆くんに向こうの対策だのルール上OKだとか説明しても納得しなそう。顔こっわ、Aさん見えないんだけど。


「竜ちゃん、ヒヨって逃げた雑魚わざわざ捕まえる?」

「……ううん」

「だから大谷さんに詰め寄らないの。"野球に詳しくない弟は敬遠に納得出来なかったみたい、皆さんごめんなさい"、竜胆、大谷さんに言いたかった事は?」

「あ、ホームラン!有言実行凄ェじゃんおめでと、髭は……ハッケーン」

「"お、おれのファンか?"」

「"お姉さんは英語がネイティブなんだね!"」

「"最高にクールだ"」

「"胸もデカいし良いケツだ"」

「育毛剤でも使ってんの?マジこれ普通の奴がやったらダセーけど良いじゃん」

「ねー。お前ら誰の姉貴ジロジロ見てんの」

「「「"ごめん"」」」


 僕から離れてマーシュの元に行って髭を触りながら首を傾げる竜胆くん、Aさんの肩を抱き寄せながら日本語でチームメイトに凄む蘭くん。一平さんに頼ろうにもこのカオスな空間に珍しく爆笑している。

*→←カリスマは国境を越える。



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
40人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年1月1日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。