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華やかな三人を引き連れ歩く。遠慮のない国なので廊下で派手に揉めている関係者もいたが、蘭くんが日本語で「邪魔」と放てば一瞬で静かになった。何だこれ、翔平のセキュリティーより猛者だろ灰谷姉弟。Aさんの「Excuse me」と「Oops」も装備。竜胆くんの舌打ちは流石にAさんに叱られていた。

 まだ選手入りしていないダグアウト横の席は、選手の表情も見えれば大声での会話も出来る距離だ。蘭くんが翔平に強請った屋根もある。


「素晴らしい席だねー!水原さんありがとうございます、大谷さんにもお礼言わなきゃ」


 差し入れです。というAさんの一声に兄弟がそれぞれ持っていた大きな紙袋をずいと差し出す。


「イッペー、三十人分で足りんの?」

「えっ、何、ですか?これ」

「一個一平サン用だから開けてみてよ」


 自分は観客席でカリスマと何をしているのだろう、集られているように見えないだろうか。やや下がったIQで一つ取り出すと灰谷A蘭竜胆の熨斗付きの箱、この時点で選手たちは興奮しそうだ。

 開ければ紅白二色組の今治スポーツタオル、ご丁寧にそれぞれエンゼルスのロゴ刺繍も入っている。これはまた……、


「……俺でも本当に嬉しいです、これ。えっ、……三十人分、ですか?」

「一ヶ月前翔平に誘われてすぐ姉ちゃんが三ツ谷にタオル贈って手刺繍頼んだ」

「三ツ谷ってあの、今話題のデザイナー?」

「そ、あいつも元東卍隊長。昔頭かち割ってから姉ちゃん以外の灰谷出禁だけど♡足りなかったらいつでも姉ちゃんに言ってー」

「長く引き止めてすみません、よろしくお伝え下さい」

「こ、こちらこそ!俺も大事にしますね。お心遣いありがとうございます、試合後もこちらでお待ち出来ますか?」

「はい!」「「はーい」」


 まさかのサプライズに久しぶりに全力疾走し見つけたマドン監督に事情を説明すれば、すぐコーチ伝いにベンチ入り含めた選手が収集された。よし、足りそう。


「"翔平の友人からのサプライズだよ。翔平、配って"」


 先程までブルペンで投球していた翔平が首を傾げながら俺に視線で説明を求めるが、紙袋の中見ればわかるよ、と答えるに留めた。

*→←◎一平side



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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年1月1日 0時

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