◎一平side ページ14
今日の翔平の気合いの入りようはトラウトが「"一体どうしたんだ"」と俺に尋ねて来るほどだ。友人が来るとだけ答えておいたが。
「竜胆くんたちさっき出たらしいから裏の2ゲートから案内してあげて。関係者の駐車場は教えておいた」
翔平に言われ迎えに行った先で待つ事十分。その辺のスターと呼ばれる連中よりオーラを放つ三人組が現れた。
パイソン柄のシャツに黒いタイトパンツの蘭くんに無地ながらも上質そうな黒いダボTにラフな短パンの竜胆くん、黒いレースのノースリーブを上品な藍色のパンツにインしたAさん。
皆テイストが違うのに、どこかリンクしたようなコーディネートだ。そして翔平とは違う意味でスタイルお化け。球場スタッフもどこのVIPだと騒ついている。今まで多くのセレブリティと仕事をした俺でも良い意味でヒく。
観客内じゃもっと目立つだろうな。
「水原さーん!」
「イッペー久しぶりじゃん!」
「元気してたー?」
外したサングラスを片手にぶんぶんと手を振りながら走り寄って来たAさんに続くマイペース兄弟。
「ご無沙汰しております、お迎えまでわざわざすみません」
「いえいえ。道中混みませんでしたか?」
「途中軽く渋滞ハマりましたが、煩いのが大合唱してたので」
「えー姉ちゃんが眠くなんないように歌ってやったのに。なぁ?竜胆」
「うん。途中から姉ちゃんも歌ってたじゃん、何故か90年代R&Bメドレー」
「竜胆のNellyパートは面白かった」
「面白いって何!?カッコ良いだろ!!」
「ごめんね、カッコ良いよ。水原さん、二人がグッズ見たいらしいんですが」
本当に仲が良いのだろう。翔平も兄姉と良い関係だが、流石にこれだけ近い距離で盛り上がっている姿は想像すら付かない。蘭くんはAさんの肩を組んで頬擦りするわ、竜胆くんは腕にしがみ付くわ、翔平の言うシスコンを目の当たりにした。
「恋人みたいですね、似てなきゃ勘違いしそうだ。グッズ売り場は表にありますが、Aさんたちが行ったら目立つと思うので裏に用意させますよ!」
「俺らラブラブだもんなー♡」
「髭のユニフォーム欲しい」
「竜胆くん、そこは翔平じゃないの?後でiPadでカタログ見せるよ」
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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年1月1日 0時