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それから暫くして竜胆くんから詳細のフライト日程が来た。二週間も滞在するんだ。その中からまた竜胆くんと日程を話し合い、無事三枚の観客席を確保した。
「翔平楽しそうだね」
既にLAを満喫しているらしい竜胆くんたちが観戦に来る前日。一平さんにそう言われ、顔に出ていたかと苦笑する。
「リアルタイムで僕の試合観てくれてるみたいでさ。竜胆くんから感想が来るんだけど、その内容が"今日16番の髭イケてる"とか"客も乱闘参加出来んの"とかズレてるんだよね」
「はは、そっか。今近いんだから直接言えば良いのに」
「えっ?近いって何が」
「Aさんのお宅。今まですれ違ってるんじゃないかと思うくらい」
「そうなの?は、何で一平さんが知ってるの」
「たまに話すから」
翔平知ってると思ってた。と一平さん。本当に何なの?
「会ってはないよね?」
「うん。黒川さんとTENJIKU副理事の鶴蝶くんっていう人とは飲んだけど。同じ施設出身の幼馴染なんだって。鶴蝶くんがこっそり教えてくれたけど、黒川さんは十年以上Aさんに片想い中。関東ではプロ入り当時の翔平より有名で人気者だったみたいだよ、Aさん。兄弟もカリスマって呼ばれてたらしいけど」
「……何それ。で、何その顔」
「いや?相棒の翔平が自覚する前に他の誰かに貰われたら嫌だなって」
「……僕の負けず嫌いに火を付けようとしてるんだろうけど、実際まだ良く知らないし」
そっか、とにこにこ顔の一平さん。クソ。
「とりあえず明日はホームラン打つから」
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作者名:カーター千之助 | 作成日時:2024年1月1日 0時