【文スト】其の女、何故生きる① (ページ6)

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午後1時半ページ6

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「痛てっ！」

『うわ、ごめん』

まさか中也の額にドアが当たるなんて思わないよね？普通は、と小さく声を発するA。

「どこ行くんだよそんな格好して」

『買い物だけど？』

「あっそ、うわぁ痛てぇ」

『え、中也小っさ』

「五月蝿え！手前身長盛ってんじゃねえか！！」

『たかが3cmだよ！まあでも3cmのヒール履いたら中也越すか、計算上は』

「手前…」

『てかどうしたの？私の部屋盗聴でもしてんの？』

「ちげーよ
首領からの伝言を伝えに来た」

『首領から伝言？』

「明後日、実家帰ってお墓参りして来いって
その後向こうでそのまま1泊して帰って来いってな」

『あ～もうそんな時期か…』

「…まあ久々に地元の友達にでも会ってこいよ」

『それもそうだね』

3日後はAの両親の命日だ。

両親が好きだったワインとお花を買ってお墓参りに行こう、と考えていると、

「任務があるからもう行くわ、じゃあな」

『うん、わざわざありがと』

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Aは電車で空いているシートに腰を下ろし、時間が無くて全然読めていなかった本を開いた。

すると、数駅過ぎた所で御老人と孫らしき2人組が電車に乗ってきた。

電車内はほぼ満席状態で、座れても1人というような状態だった。

Aの隣は1人分座れそうなスペースが空いていた。

『あの…もし良ければお2人で腰掛けてください』

「すまんのォ、ありがとうねぇ」

『いえ、もう少しで降りますので、お気づかないなく』

「おねえちゃんありがとう」

『いえいえ』

2人は仲良く絵本を読み始めた。

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Aは、無事目的地の最寄り駅に着いた。

そこから数分歩いたところで、事は起こった。

『う～わ、最っ悪…』

Aの目には彼奴が映っていた。

「こんな処に居ったか唐変木！」

眼鏡の彼めっちゃ怒ってる。

彼奴に気付かれないよう気配を消してその状況を観察する。

暫くすると、彼奴がフラッと此方を見た。

気付かれた…

前髪斜め君と黄色ローポニー君が2人で何か話しているところを離れてAの方に向かって来た。

『逃げよっ』

Aは走り出した。

…と、思ったが、

「つーかまーえた♡」

『まじで今日最悪』

何時の間にか両腕をこの包帯ぐるぐる巻野郎に掴まれていた。