【文スト】其の女、何故生きる① (ページ40)

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決意を決める刻限ページ40

Aは未だに心に引っかかっている“もの”があった。

それを解決すべく、執務室へ自ら向かった。

ｺﾝｺﾝ

『首領、Aです』

何時も通り返事は聞こえてこない。

『入りますよ』

そう云って中に入ると、ヤバい光景が広がっていた。…否、何時もだけど…

「エリスちゃん～これ着てよぉ～
私が選んだこの漆黒のドレス！」

「やだ！りんたろうのその必死さに拒否反応！」

『はァ……首領』

「ん？あぁAちゃんか」

『少しお話したいことがあるのですが』

「珍しいね、Aちゃんが折り入って話なんて」

すると、エリスは奥の部屋へ行き、森は首領の椅子に座った。

『……先般、首領は私と敦くんが似ていると仰いましたよね？』

「あぁ言ったね」

『………似てませんよ

敦くんの方が私よりずっと素晴らしい人間です
私は弱い、非力な人間です』

「…そんな事思っていたのかい
でも聞き捨てならないなぁ
幾らAちゃんでも、私が誠心誠意込めて育てたAちゃんの事を貶すなんてねぇ」

『………え？』

「私は君の父親の様に君を育てたつもりだよ？
そこまで云われたら私まで悲しいよ」

『…否、そういうつもりでは…』

「いいかね、Aちゃん
君は強いよ、目の前の人を助ける事が出来る位には

その強さをどう活かすのかは君がこれから決めるんだ」

『……はい』

Aは少し気持ちが晴れたような顔つきをしていた。

「私からも質問してもいいかね？」

『…何でしょう』

「君は以前、人虎を傷つける事は出来ない、と言ったね？」

『？はい』

「…今の君は誰が何と言おうとポートマフィアだ
任務にはきちんと責任を持って望まないといけないよね」

『……』

森が何を言いたいのかいまいちピンと来ないAは口を噤んで森の話を聞いていた。

「今後、大きな戦争が起こるかもしれない
…それもそう遠くない内に」

『！？』

「任務で人虎を殺せと命じられれば、君は如何にかして人虎を殺さなければならない

…その時でも君は人虎を傷つけられない、と任務を放棄するかい？」

『………』

「君はポートマフィアだ
私が君を必要としている
私の部下も君を頼りにしている

…呉々もそれを忘れないようにね」

『…私は、自分の任務を全うします』

Aの悩みは晴れ、その顔は今迄に見た事がない程、
…否、過去の彼女の様に、凛々しくポートマフィアらしい表情をしていた。