ヒソカ×どうやら私はペット兼彼女になったようです (ページ9)

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『やだなぁ。絶対店長怒ってるだろうなぁ』ページ9

カフェに戻ったAを店主のビネガーが(カーネルサンダースのような見た目)、凄い剣幕をたてて見た。

(うう店長・・なんで言えばいいんだろう)

ビネガーは、直ぐに目を逸らし、それから何も言わずに目の前でコーヒーカップを拭いていた。

幸い、店内はビネガー1人だけだった。

『店長・・・ごめんなさい』

カップを置くと、手元をタオルで拭いてAの近くのカウンター席に座る。

ビネガー「なにがあったんだね」

『えっと・・・』

『最近知り合った男性が現れて、私を抱えて強引に森に連れて行かれました・・・』

ビネガー「男？まったく最近の若者は、常識を知らんのか」

『ごめんなさい・・・』

もうそれしか言えないです・・・。

ビネガー「まあいい。今回は客もいなかったから多めにみる」

ビネガーの表情は険しいままだったが、Aを許した。

ビネガー「強引だとしても、自分は悪くないなんて思ったらいかんぞ。そういう男と付き合った君も悪く見られる。それが世の中だ」

ビネガーは言って、カウンター席からたった。

ビネガー「何か飲むか？」

『えと、じゃあカフェモカを・・・』

ビネガー「苦いのは苦手か」

棚から粉を取り出して、面白そうに聞いた。

ビネガーはカフェモカをAに差し出すと、昔話を語り始めた。

ビネガー「前にな、君みたいな女の子がうちにいたんだ。孫みたいに可愛がっていた」

「その子はワシに心を開いてくれてな。よく彼氏の話をしとった」

「けどある日から、元気がなくなって気になって聞いたんだ。ワシは店主だし、お客が来ないと食っていけなくなるからな」

「するとその子は
『男に暴力を受けて、死のうと思ってる』と、そう言って、キズだらけの手首を見せてきた」

「ワシは店のことどころじゃなく、その子がどんな心境でここで働いてるのか、想像もつかなかった・・・
今思えばワシに聞いて欲しかったのかもしれんな・・・」

そう言って、ビネガーはコーヒーを啜った。
Aも、緊張で溜まった唾と共に、カフェモカを飲み込んだ。

「ワシは言った。」

「バカもの！そんな状態でなぜ無理して店を気にするんだ！」

するとその子は

ーーーおじさんが好きだから。

ありがとう、聞いてくれて。ーーー

そう言って、次の日から、来なくなった。

もう、10年も前のことだ。

question2その子は誰か?