ヒソカ×どうやら私はペット兼彼女になったようです (ページ29)

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額に十字の客ページ29

Aはソーサーの上にコーヒーとスプーンを置いて、白いタオルと共に客の前に運んだ。

『あの、よかったら、使ってください』

「親切にどうも」

男が顔を上げた拍子にAの視線が額に向かった。

　
「どうかしたか？」

十字のタトゥー、

異様に黒い瞳。

耳元の紫玉が、鈍い光を放っている。

『あ、いえ・・・！なんでもありません！ごゆっくりどうぞーーーー！！！』

と、と、鳥肌が・・・

しかもここの周りだけ

なぜか重力が重く感じる・・・

Aがきびつを返して歩き出そうとした。

その時、

ツルーーーーッ！！！！

ヒールが水に滑った！

『きゃっ！』

Aは床に滑って真後ろに倒れかけた。

しかし間一髪のところで男がAを支えた。

「大丈夫か？」

Aは男を間近に見て、暫し声を失った。

『す、すすみません！』

何て綺麗な顔立ちでしょう！
女のようにまつ毛が長い・・・！！

「頼んでも良いか？」

『え？あ、はい！なんでしょうか？！』

Aは体勢を立て直す。

「さっきと同じやつを」

の、飲むの早いな・・・

「それと」

「髪を拭いてくれないか」

え、えーーー！

他人の髪なんて拭いたことないのに！！

だいたい美容院のすることでじゃ？

いくらサービス業だからって・・・

『分かりました！』

・・・ただしイケメン限定なのだ。

Aは再度おかわりを持っていく。

『あの、雨が止むか分かりませんが店に置いてる小説です。時間潰しにどうぞーーー！』

Aは数冊テーブルに置いた。

「至れり尽くせりだな。ありがとう」

ああ・・・！
メイド時代に培ったことが活かされたみたい。