繋がれた約束【黒木場リョウ】

寒い国の春 ページ2

貴「リョウくん、リョウくん！早く来て！」


そう言って少女は少年の腕を引っ張る。


黒「待て！俺はまだ仕込みの途中で…」


そんな少年の言葉も聞かず、少女はひたすらある方向に向かって走り続ける。

森へもぐって西へ東へ。

するといきなりピタと立ち止まり、
前方を指差した。


貴「ほら見て！すごい綺麗なお花畑！」


そこにはどこまでも続くような
花畑が広がっていた。


少年は驚きを隠せない様子だった。


黒「こんなところ…あったんだな。」


貴「さっき見つけたんだよ！ね、すごい？」

少女は自慢げに話し、その場にしゃがんだかと思いきや、いきなり立ち上がり少年に何かを渡した。

貴「はいっ」

リング。花のリングだ。

少女はそれを少年の左手の薬指にはめて
こう言った。


貴「黒木場リョウくん、大きくなったら
私と…結婚してくれますか？」








幼き日の約束だった。

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