行方不明 ページ37
「善逸が行方不明！？」
定期連絡から戻ってきた伊之助の言葉に、私は声を抑えられなかった。
昨日の夜、二人で向かった時には既にまきをの姿はなく、代わりに鬼の気配を掴んだが、結局取り逃がしてしまった。
しかし、荻本屋から鬼の逃走経路を辿って行けば本体を捕まえられると期待していたのに、私にとってはそれ以上の問題が発生してしまった。
「どういうこと！？ねえ！？」
「知らねぇよ。けど、日が落ちたら健太郎がここに来る。そしたら昨日の鬼を追う。追っていけば紋逸にも会えるだろ」
「くっそ、音柱め……行方不明だからって切り捨てやがって。感性しょうもない癖に！……善逸は絶対に生きてる。だから私は諦めない！」
「俺も権八郎も、紋逸は死んでねぇと思ってる。こん中に鬼の通路がある。だから今夜それを探すって言ってんだ！」
意気込んでいる伊之助に、私は首を横に振った。
「それは伊之助と炭治郎で行って」
「あ？お前はどうすんだ？」
「京極屋に行く」
「おい、一人で行動すんなって健吾郎が──！」
「悪いけど！……私の最優先順位は、一番は善逸、二番に善逸、三番も善逸なの！私は善逸を探すことを優先する」
文句は言わせない、という態度に、伊之助は「お前、紋逸に似てきたな……」と光を失くした目を向けた。
「え？王子様ってこと？」
「あん？ほうじ茶？」
「どういう聞き間違いだよ」
二人で同じ方向に首を傾げていると、話が逸れたことに気付き、「とにかく！」と本題に戻す。
「こっちの鬼の追跡はお願い。京極屋にもきっと通路がある。もしかしたら、鬼は一体じゃないのかも……」
確かに身勝手な行動だ。分かっている。
けれど、譲れない。
「……ごめんね、親分」
「ったく、手のかかる子分だぜ！こっちの鬼は俺様にまかせろ！」
へんっ、と胸を貼る伊之助に小さく笑うと、私は京極屋の方角を睨む。
既に身内では怒りの熱がふつふつと湧き上がっている。
会議で不死川に感じたのと同じ熱だ。
あの時と違うのは、この原動力に身を任せても、諸刃の剣ではないこと。
鍛錬を積んだから、もう簡単には骨折しないだろう。
きっと筋肉も着いてこられる。
「こんなにも巧妙に姿を隠せるなんて……上弦かも。ここに巣食ってるのは」
「オッサンもそんな事を言ってた。でも関係ねぇ！！」
「うん、関係ない」
(善逸に手を出したらタダじゃおかない──！！)
日が暮れ、私は荻本屋を出て、京極屋へ屋根伝いに走った。
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maicoo(プロフ) - ゆんゆんさん» だいぶ前にコメント頂いていたのに、返信が遅くなり申し訳ありません！優しいお言葉、ありがとうございます。かなり間が空いてしまいましたが続きを書いたので、まだご興味がありましたら読んで頂けると幸いです。 (2020年10月9日 13時) (
レス) id: e4977cc5c7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆん(プロフ) - 更新頑張ってください！待ってます！ (2020年5月15日 15時) (レス) id: 91470d6548 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - プロ目指しているならちゃんと完結してほしかったです。 (2020年5月12日 3時) (レス) id: f03e58bde9 (このIDを非表示/違反報告)
maicoo(プロフ) - もっさん» コメントありがとうございます！実はプロを目指していて、普段はオリジナルを書いています。夢小説は文章と表現力の練習にもなるし息抜きがてらにやっているので、ペースはまちまちですが……。色々と悩む事があったので、凄く励まされました！これからも頑張ります！ (2019年10月7日 9時) (レス) id: e4977cc5c7 (このIDを非表示/違反報告)
もっ - このシリーズ、なんだかプロの小説家さんが描いているようで凄く面白いです…！更新頑張って下さい！！ (2019年10月6日 14時) (レス) id: c9f0456c30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：maicoo | 作成日時：2019年9月25日 22時
