無自覚 ページ30
縁側に並んで腰掛けて、月を眺めている。
厳しい鍛錬の日々の、合間のひととき。
想いが通じ合ってから、Aちゃんは本当に任務に着いてくるようになった。
勿論、しのぶさん経由で上の人に許可をとったらしい。
(それって、大丈夫なのかなあ……？)
なんて考えていたけれど、実際、単独任務でも一人じゃないというのは、怖がりな俺にとって随分支えになった。
目的地に近付くにつれて、恐怖が脚に来て動けなくなって炭治郎と伊之助に置いていかれても、Aちゃんは決して俺から離れようとはしなかった。
『大丈夫、大丈夫』
『善逸は大丈夫だから』
そう言って、柔らかく
そして俺の首根っこを掴んで、鬼のいる場所まで引き摺っていく。
(なに？この扱い？本当に俺のこと好きなんだよね？俺のお嫁さんなんだよね？)
同時に二つの意味を込めた涙を流しながら、ズルズルと鬼の所まで引き摺られて、結局俺は気絶して何も覚えていないのだけど、目覚めた時には既に鬼の頸が転がっている。
「ありがとねぇええ！！俺、また何も出来なくて！ごめんよぉおおお！！」
そう言って泣きながら抱きつく俺を、Aちゃんは微妙な面持ちでそっと抱きしめて励ましてくれる。
「倒したの、私じゃないってば……」
「でも俺気絶してただけだよ！？本当いつもごめんねぇええ！？守るって言ったのに、守られてばかりでごめんねぇえええ！？」
「そもそも私、日輪刀持ってない」
「はっ！そうだよ！！そうだったよ！！……そうか！俺の日輪刀を使ったんだね！？いいよ！隠さなくて！！俺全然怒んないから！！助けてくれるならいつでも使ってくれて構いませんからァア！！！」
「いや、だから……」
Aちゃんは優しい。
俺が頼りなくても、少しも責めたりしないし、諦めて見捨てたりしない。
だけど内心、俺は情けない気持ちになるんだ。
(まただ……。またAちゃんに守られてしまった)
このままでは愛想尽かされてしまうんじゃないかって不安になる。
(もっと、強くならなくちゃ……)
そう思うんだけれど……。
「今、何考えてる？」
愛しい声で我に返ると、目の前にAちゃんの顔があって、思わず顔が熱くなる。
「な、ななななんでもないよ！？」
ドキドキしながら返事をすると、あの悪い顔をした。俺の好きな顔だ。
「善逸は無自覚なんだよ。色々と」
俺の悩みを知ってか知らずか、そう言って微笑うと、コツンと額を合わせた。
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maicoo(プロフ) - ゆんゆんさん» だいぶ前にコメント頂いていたのに、返信が遅くなり申し訳ありません！優しいお言葉、ありがとうございます。かなり間が空いてしまいましたが続きを書いたので、まだご興味がありましたら読んで頂けると幸いです。 (2020年10月9日 13時) (
レス) id: e4977cc5c7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆん(プロフ) - 更新頑張ってください！待ってます！ (2020年5月15日 15時) (レス) id: 91470d6548 (このIDを非表示/違反報告)
凛(プロフ) - プロ目指しているならちゃんと完結してほしかったです。 (2020年5月12日 3時) (レス) id: f03e58bde9 (このIDを非表示/違反報告)
maicoo(プロフ) - もっさん» コメントありがとうございます！実はプロを目指していて、普段はオリジナルを書いています。夢小説は文章と表現力の練習にもなるし息抜きがてらにやっているので、ペースはまちまちですが……。色々と悩む事があったので、凄く励まされました！これからも頑張ります！ (2019年10月7日 9時) (レス) id: e4977cc5c7 (このIDを非表示/違反報告)
もっ - このシリーズ、なんだかプロの小説家さんが描いているようで凄く面白いです…！更新頑張って下さい！！ (2019年10月6日 14時) (レス) id: c9f0456c30 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：maicoo | 作成日時：2019年9月25日 22時
