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「いやー似てないっすね。倉持と」
わたしの頭上で、低い声が聞こえた。
どきどきする。だいすきな男の子の、だいすきな声。
思わず体がブルルと震えたけど、寒さのせいにしておくね。
とにかく返さなきゃ。話を続けなきゃ。せっかくのチャンスなのよ。
わたしは少し悩みながらも、声を出した。
「よく言われる」
「よかった、倉持みたいにキレられるかと思ったけど」
「ふふふ、わたしと洋一は違うのよ」
やっぱ言おうかな。口角がじわじわ上がってくるのをこらえながらも、わたしは、
御幸くんに向きなおって、もう一度口を開いた。
「ねえ、わたしと洋一、どっちがかわいい？」
御幸くんの動きがピタリと止まった。それはもう、おもしろいぐらいに。
少し目線を外すと、げらげら笑っている洋一と目があった。
「は…はは、え？お姉さん、おもしろいこと言うんですね」
半笑いで、やっと御幸くんが答えてくれた。
今思ったけど、なに、「お姉さん」って。
少しだけムカッときたけど、わたしはなにも言わなかった。
だって、そんな嫌味ったらしい言葉だって、御幸くんがすきなんだから、許せるもの。
「大胆ですね、ねえ倉持さん、俺のこと好きでしょ？」
御幸くんはいつもみたいにニヤリと笑って、わたしのことを見透かしたかのような瞳で、
じっとわたしのことを見つめていた。
わたしはふふっ、と御幸くんに聞こえないぐらい小さい声で笑って、
もうだめだって思いながら、開きなおった。
「そうだよ、すき」
わかってたはずなのに、御幸くんはまた固まってしまった。
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作者名：泉原 瑠守 x他10人 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Rumahappin2/
作成日時：2016年7月8日 19時
