倉持さんちのマネ/ノヤナ ページ20
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「兄ちゃん寝癖やばいよ?」
「寝癖じゃねーよ。ちゃんと整えたんだよ」
「あっこれ、セットしたの⁉ごめーんボサボサだったから♡」
「笑うんじゃねえ、しばくぞこの野郎!」
■倉持さんちのマネージャー■
先生に提出するノート、なんで私が出さないといけないの。
意味わかんない、そう愚痴りながら重たいノートを抱えて小走りで進む。
クラス全員分のノートを積み上げると前が見えなくなるぐらい高くて。
ちょっとフラフラしてたかもしれない私は、
誰かにドンとぶつかって前に転びそうになった。
「ちょっ、うわ」
ノートはバサバサと落ちていったけど、
私はどうにか踏みとどまって転ばなかった。
急いでノートを拾い上げる。
その時、見覚えのある目に見つめられてることに気づいた。
「兄ちゃんだ」
私がそう声を上げると、兄ちゃんは私をぎっと睨みつけてきた。
意味わかんない、またそう言っちゃいそうになった。
「危ねえだろうが!どこに目つけてんだよ!ちゃんと前向いとけばーか!」
眉間にしわを寄せて、私を睨んで、それでも心配してくれる兄ちゃんは
ほんのちょっぴりだけ優しいのかもしれない。
でもさ、わがまま言うとさ。
「兄ちゃん…本当は純さんが良かった」
「うるせえ!しばき倒すぞてめえ!」
指をポキポキ鳴らす兄ちゃん、ホント怖いから。
だからモテないんだよ。
ノートも拾い終わって、兄ちゃんは私の隣でスタスタ歩く。
私は早足でついていく。
「純さん好きになるAの思考回路おかしいんじゃねーか?」
「純さんかっこいいじゃん。あ、さっきの言葉もちゃんと伝えとくからね」
私はニヤリと笑う。
隣の兄ちゃんの頬を冷や汗がつーっと流れていった。
「私は兄ちゃんのことを好きになる人もどうかと思うけどね」
「クソうぜー、こいつ」
兄ちゃんはまだ冷や汗垂らしながらケラケラと笑う。
相変わらず、先輩たちにはビビってばっかでかっこ悪い。
「まあ、兄ちゃんは妹の恋愛、応援するよね?」
兄ちゃんの耳元で囁くと、
「しかたねーな」
って言ってひゃははと嬉しそうに笑ってた。
何よ、なんだかんだ言って私が幸せになるのは嬉しいのね。
私も兄ちゃんの笑い方をマネして、
二人ででかい声でバカみたいに笑った。
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作者名:泉原 瑠守 x他10人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Rumahappin2/
作成日時:2016年7月8日 19時