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*


翌日


朝練前に亮介さんを食堂で発見。
これはもう話し掛ける他ない。

小走りで彼の元へ向かった。



『亮介さん』

「はいはいなぁに」

『おはようございます』

「おはよう、今日は静かだね」



わざわざコップに水を注いでくれて
どーぞ、と手渡してくれた亮介さん。

ありがたく受け取って半分飲む。



『ありがとうございます!』

「ただの水だから」

『そういうとこ大好きです!』

「うん、俺も好き」

『へっ?』



とんでもなく間抜けな声が漏れてしまった。

いやいやいや今の好きは違うんですよね。
私ちゃんと分かってますよいい子ですから。



「負けた、まっすぐ過ぎ」

『え…えぇと、負け……?』

「嘘じゃないよほんと」



俺のこと信じてくれないの?と言う彼に
ぶんぶんぶんと首がもげるほど横に振った。
ちょっと早い展開に着いてけないだけ。

そんな私をくすくす笑う姿もお美しい。



「積極的に来るの、嫌いじゃないし」

『私のこと、ほんとに、ですか?』

「何度も言わないよ俺は」

『ありがとうございますぅぅ…』



万歳して喜ぼうにも鼻の奥がツンとして
一気に視界がうるうると歪んでいった。


情けなくも涙がぼろぼろ零れる。
そんな私を前に彼は焦ることもなく



「やっぱり。泣くと思った」



ポケットから出したハンカチでとんとん
目が腫れないように優しく涙を拭いてくれた。
こんなこと思っちゃいけないけどいい匂いする。



「朝練いくよ」

『っはい』

「元気ないとお前らしくない」

『っふぁい!』

「それでよし」



私の頭を宝物に触れるように撫でると
前髪を上げて、ちゅっと唇を落とす彼。
男の人とは思えないほど柔らかい唇。



『も…もっかいしてください』

「ん」

『わっ!』



今度はキスの代わりにでこぴんして
何度もしないから、とくすくす笑う。

痛いからか恥ずかしいからか火照る
額を押さえて停止してると亮介さんの
手が私の手をそっと優しく掴んだ。



「しょうがないから手は繋いであげる」

『あっ、ありがとうございます…』



引っ張られる感じで廊下を歩いてると
曲がり角から寝起きの洋ちゃんが来た。
ぼさぼさの頭で目もそんな開いてない。



『あ、洋ちゃん』

「んぁ?……おーAおは、って亮さん?!」



「あぁ倉持、お前の妹もらったから」



さらりと告げる亮介さんに洋ちゃんは
何とも形容し難い顔をして?を浮かべる。



「はぁ?!ちょっといつの間に…ぃだッ!」


「うるさい」



.

◇◇→←倉持さんちのマネ/黒糖団子



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作者名:泉原 瑠守 x他10人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Rumahappin2/  
作成日時:2016年7月8日 19時

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