倉持さんちのマネ/黒糖団子 ページ11
*
『亮介さん!』
「はいはいなに?」
『月が綺麗ですね!!!』
「今日それ37回目。朝だし」
*倉持さんちのマネージャー*
「頼むから止めてくれ…」
『洋ちゃんひどい、かわいいかわいい
妹の必死のアタックを止めるんだ…』
「亮さんだけはほんと勘弁してくれ…」
夜の5号室に私は呼び出されていた。
沢村くんと増子先輩はバッティング中。
私のひとつ上のお兄ちゃんの洋ちゃんが
盛大な溜め息を吐きながら私の頭を撫でる。
『亮介さんかっこいいのに』
「んなこと知ってるっつの」
『ならなんで?!』
「妹が亮さんの彼女とか、不安で
命がいくつあっても足りねぇよ」
『せっかく受検がんばったのに…』
「それも分かってるけど」
『洋ちゃんも頑張れってゆったのに』
「まさか先輩目当てとは思わねぇだろーが」
『…』
1年前に青道に入った洋ちゃんの試合を
お母さんが見に行くって言ったから
お勉強1日くらいは休もうって
がんばる洋ちゃん見ようって
そんな軽い気持ちで見に行った。
そしたら隣にいる桃色の頭のお兄さんが
何かめちゃめちゃ素敵でかっこよくて。
試合の後半なんて洋ちゃん見ずに(最低)
そのひとにずっと見とれてたから
きっとこれは、そういうのなんだなって思った。
『……洋ちゃんひどい』
そして入学した結果これです。
洋ちゃんが応援してくれません。
正座して腿の上に乗せた両手がぎゅっと
パジャマの水色のズボンを握り締める。
下を向いて唇を尖らせ黙ってると涙が滲んだ。
元ヤン洋ちゃんも人の心があったらしく
小型冷蔵庫からみっくちゅじゅーちゅを
持ってきて私の頭にこつんとぶつけて
足元に置いてくれる。何故ぶつけたし。
『わたし本気ですきなのに』
「ちょっ…おい泣くなよ馬鹿」
『洋ちゃんの子供舌』
「お前もだろーが」
涙の滲む目でキッと洋ちゃんを睨めば
はぁ…と盛大な溜め息を吐きながらも
ジャージの袖でごしごし涙を拭ってくれる。
抜けた水分を補給するようにジュースを
ごくごく飲めば口のなかがあまく潤った。
「しかたねぇな」
『え』
「止めても聞かねぇだろーし」
『うん』
「……がんばってみればいんじゃね」
でも何だかんだ応援してくれる洋ちゃん。
さすがは私のお兄ちゃんだよ。うん。
『やった!ありがと!洋ちゃんだいすき!』
「うわおもっ!抱き着くな馬鹿!」
『洋ちゃんの方が重いもんバカ!』
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作者名:泉原 瑠守 x他10人 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Rumahappin2/
作成日時:2016年7月8日 19時