君がいちばん。 【Leo.N】

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Side.Leo
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『あ、もしもし阿部くん？
今日の異文化理解だけど、来週小テストがあってね。勉強するだろうからなるべく早めにレジュメ渡したくて。
今日これから阿部くんの家に行こうと思ってるんだけど大丈夫かな？』

紛れもない、Aちゃんの声だ。
電話越しだと少しだけ違って聞こえるけれど、間違いない。
電話の向こうにいるのが顕嵐ではなく俺だということを知らないAちゃんは、言葉を続ける。

『テストの範囲も細かいから口頭で説明したほうが良いかなって思って…、って阿部くん？聞いてる？』

「あっ、ちょ」

瞬間、俺の手からスマホが奪われたと思ったら、「もしもし」なんて澄ました声で会話をする顕嵐の姿があった。

「あぁ、うん。いま友達とサウナ来てる。ごめん、そいつが勝手に電話出たみたいで。
テスト？あー、了解。Aは家でしょ？
いいよ、俺がそっち行くから。
うん、いつもありがと」

" 友達と " の部分で俺をチラリと見た顕嵐はそのまま電話を続けている。
なんだか楽しそうだし、表情も柔らかい気がする…。

「ん、じゃあ、あと1時間半くらいで行くから、また」

もう、我慢できない。

「Aちゃん！！」
「ちょ、おいながつ！」

またな、って顕嵐が言う前にスマホを素早く奪い取り、マイクにこれでもか、って声量で話しかける。

『えっ、怜央くん？』

きょとん、と効果音がつくかのようなAちゃんの声が俺の耳に響いた。


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