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「あ、血が…」

ふと見ると彼女の白い手に赤い線が走っていた。

「転んだ拍子にトゲで切ったのでしょう。よろしければ、これを」

ポケットからハンカチを出し、彼女に差し出した時だった。

「何をしている」

地を這うように響いた声。
振り向くと、グルッペン様がいた。
彼は私を見ると目を見開き、腕をつかんだ。

「っ!」
「お前、ここで何をしてる…!」
「私は、なにも……」
「彼女に何かしたのか!」

ギッと骨が軋む音がした。
グルッペン様の紅い瞳は怒りに揺れている。
あぁ、私の姿を初めてその目に写してくれましたね。

「グルッペン様!おやめ下さい!彼女は転んだ私を助けてくれたのです!」

バラ園の君の言葉にグルッペン様は掴んでいた手を離した。

「本当か?」
「はい。親切にして下さった方にそのような振る舞いはやめてください…!」
「……分かった」

離された腕は真っ赤になっていた。

「おい、お前」
「…っ、はい」
「……二度とここへ近付くな。いいな」
「…はい」

そう言い残すとグルッペン様はバラ園の君を抱き起こし、彼女の部屋へと消えていった。

私が、彼女にあなたに何かしたでしょうか?
どうしてあんなに憎悪に満ちた目で見られなければならないのでしょうか?

あなたは、私の名前すら覚えてないのでしょう。

「……っふ」

込み上げてくる涙を止めることなどできなかった。

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- 神作品ですね!スゥー大好きです!!!!! (8月10日 10時) (レス) @page41 id: 1fc9dc00b9 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろどうふ(プロフ) - やば、なんだこれ神小説じゃねぇか。なんで今までオススメに出てこなかったんだよ…! (2021年1月30日 16時) (レス) id: 464a1b954d (このIDを非表示/違反報告)
プロローグ - 見せたこと何になっています。違ったらすいません (2020年3月11日 22時) (レス) id: 3f29d20ec2 (このIDを非表示/違反報告)
らに(プロフ) - 澪華さん» 返信が遅くなり申し訳ありません!ありがとうございます! (2020年3月10日 18時) (レス) id: 70456fd48d (このIDを非表示/違反報告)
らに(プロフ) - 春奈さん» 返信が遅くなり申し訳ありません!これから夢主ちゃんには幸せになってもらいますのでご安心ください! (2020年3月10日 18時) (レス) id: 70456fd48d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:らに | 作成日時:2020年2月12日 12時

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