【d!】美味しいご飯の為ならば (ページ34)

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32食目ページ34

「なっ…！？」

ガッシャン！と大きな音を立てて皿は床へ落ち割れた。

「何をするんだ…！！この…！！」
「やめろ」

顔を真っ赤にした料理長が振り上げた手は、ひとらんさんによって止められた。

「ひとらんらん様、どうして…！」
「まずは事実確認でしょ。君もAちゃんから手を離して。ほら早く」

私の腕を掴んでいた男は渋々手を離した。

「大丈夫？」
「あ、はい…。ありがとうございます」

お礼を言うと、ひとらんさんは小さく笑った。

「確かにひとらんの言う通りまずは事実確認だな。ゾム」
「はいはい」

グルッペン様の言葉にゾム様が割れた皿の前にしゃがみ込んだ。
皿に残った僅かなスープを指で掬い、口に含んだ。

「あ…！」
「大丈夫。ゾムは慣れてるから」

慌てる私にひとらんさんが言った。
そうか、ゾム様もマルコも暗殺部隊。
毒には慣らされているのか。

「……確かに毒やな」

ゾム様がそう言うと、トントン様がゆっくりと剣を抜いた。
他の幹部様も各々武器を手にしている。
それか向かう先は料理長と、私。

「さて、毒を入れたのはどちらかな？」

総統閣下の赤い瞳が私たちを射抜く。
ただならぬ威圧感に思わずゴクリと唾飲んだ。

「わ、私ではありません！こいつだ！この小娘が私の見てない間に……！」
「そもそも鍋にすら近寄らせなかったじゃないですか！」
「じゃあもう1人の奴だ！あの目付きの悪い男だ！あいつが毒を…！」
「マルコはそんなことしません！毒に気が付いたのだって彼です！そう……Ｎ国！この人たちがＮ国の人だって！」

料理長の後ろに控える2人を指差すと、彼らから僅かながら殺気が漏れた。