第18講 ページ18
『迷惑』
その言葉を聞いた瞬間、一織くんはピタリと動きを止めた。
｢こんなことを迷惑だと思うような相手なら、真夜中に駆けつけたりなんてしません。｣
眉をひそめてそう言い放つ。
だけど、彼の一つ一つの言葉に胸がきゅっと締め付けられる様にときめいてしまう。
でも、まだ拭いきれていない疑問が…
｢でもなんで、じゃあ…夜中に来てくれたの？｣
｢…この市内で20歳の女性が道で死亡していたと聞いたんです。私の、早とちりでしたが。｣
え…
それで、私を心配して…大事な睡眠時間も削って確かめに来てくれた…ってこと？
でもそれは私が電話に出なかったから…
｢…っ、本当に、ごめんね。…迷惑かけてばっかりだ。｣
｢そうですね。迷惑です。｣
…何も言えないよ……
｢あなたを不安にさせる報道も、噂も。そして迂闊な私自身も…甚だ迷惑です。｣
｢…一織くん。｣
発せられた意外な言葉にうつむいていた顔を上げると、私の座るソファの前に一織くんはかがんでいた。
｢全て、私があなたしか見えていないことをあなたにわからせるための障壁になる…。｣
大きくて骨ばった白い手で口を覆いながら、目を逸らしたまま…一織くんはそう言った。
付き合いが長くなってくるとわかってくる。
これは少しだけ照れている時の仕草だ。
そして身をよじって、もう少しだけ私に近づく。
その美しい容姿のせいか、さながら跪いて愛を誓うどこかの国の王子様のようだ。
｢こんなことを言う予定はありませんでしたが、仕方がありません。どうやら、Aさんは私がどれほどあなたのことを思っているのか理解していないようだったので。｣
｢…っそ、そんなこと…｣
｢あります。｣
｢は、い…。｣
そう言いながら、一織くんは私の左手をとる。
触れたところから熱くなって、心臓の音が頭の奥まで響いてる。
さっきのキスで限界。もう心臓もたない…
｢…今回のことは、私が迂闊でした。然るべき対応を取って、なるべく事態が早く収まるよう努めます。それまで少し気分は良くないかもしれませんが…待っていてくれますか？｣
そう言う彼の瞳は、私の大好きな優しい黒。
なんて優しいんだろう。彼の言葉で、心がすっと軽くなる。
不安になるのも、救われるのも…あなたがいるからだ。
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アイリス(プロフ) - 毎話コメントはしていないのですが通知が来る飛んでいくんですよ😂時間があれば読み返したりして何度も楽しませてもらっています！こちらこそいつも素敵な物語をありがとうございます🙇 (2022年3月6日 22時) (
レス) @page32 id: 01923abc00 (このIDを非表示/違反報告)
なたね(プロフ) - アイリスさん» アイリスさん！😳ご無沙汰しております😢そうですね、2人の心と天くんの心に注目して見守って頂ければと…😌今日の夜また更新予定なのでぜひまたよければ覗きに来てくださいね☺️いつも本当にありがとうございます！<(_ _*)> (2022年3月3日 11時) (レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - こんにちは！これからどうなるんだろう…！とドキドキしました😳だけど2人の心が離れることはないと思うので、嫉妬かわいい〜と楽観的に読ませて頂きます😂 (2022年3月2日 22時) (レス) @page29 id: 01923abc00 (このIDを非表示/違反報告)
なたね(プロフ) - monaさん» 更新するする詐欺になってしまっているのですが🥲2月半ば以降は繁忙期から解放されるのでガンガン更新していきます🙇♀️それまで宜しければお待ちください☺️コメが届いたので飛んできましたが、嬉しいお言葉有難うございました…!! (2022年1月28日 3時) (レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
なたね(プロフ) - monaさん» monaさんコメントありがとうございます！なんて嬉しいお言葉でしょう🥲一織の口調や行動はかなり気をつけているので、そう言って頂き安心致しました…！アイナナ愛、感じてください…！☺️最近全然覗けてなくて(続きます💦) (2022年1月28日 3時) (レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なたね | 作成日時：2021年4月29日 0時
