第16講 ページ16
｢…Aさん。｣
一織くんは確かめるように私の名前を呼び、私を抱きしめる腕は強くなっていく。
｢…どうして…電話に出なかったんですか…｣
こんなに弱った一織くんは初めて見た。
…そうだよね。誰よりも、私が信じてあげなきゃいけなかったんだ。
でも、どうして電話に出なかったのかを答えるということは…私の汚い、嫌な部分をさらけ出してしまうということ。
一織くんに嫌われたくない…信じてるけど…まだ怖いよ…
｢…Aさん。震えてますよ。…私が怖いですか？｣
｢ちが…っ…！｣
＿＿＿＿その時。
目にした、一織くんの表情を私はきっとこれからも忘れない。
悲痛に歪んだ、悲しげな瞳。
そうさせてるのは、報道でも多忙な毎日でもなく……今の煮え切らない私なんだ。
言わなきゃ。ううん、言う。
嫌われたくない、とか、自分に自信が無いとか…もうそういうことじゃないんだ。
私は…私が。一織くんのこと…
｢一織くんのことがほんとに大好きだから…っ…。嫌われたくなくて……電話、出たら…ほんとに、もう、ぶわーって…不安が溢れそうだったから…！｣
説明力と語彙力の無さは高校生の頃から変わらない。
でもそれでも…一織くんは私の本音を汲み取ってくれていたじゃないか。
ちゃんと話さずに自分の本心を隠すだけで分かち合おうとしなかった私は…ずるかった。
｢でも…！一織くんはアイドルで…綺麗な人なんていくらでも、たくさんいて…周りに。勝手に嫉妬して……私なんかじゃ一織くんの彼女として不足なんじゃないか…って…汚い気持ち、ぶつけそうだったから…！｣
一つ一つを口にしながら…熱い涙が溢れてくる。
だけど、しっかり一織くんの目を見て話す。
でないと、ちゃんと伝わらない気がして。
｢私が…絶対1番好きだよ……一織くんのこと。もう…不安と嫉妬で…っ…おかしくなるかと思った…。｣
しゃくり上げながら話す。涙はぼろぼろ零れてきて、止まらない。
また心臓が鳴り始める。
引かれて…ないかな。こんな…重苦しい気持ち。
私はこの空気に耐えきれず少し俯く。
一織くん…何か言って…
そう思った瞬間、視界が急に変化した。
目の前には一織くんの、黒い瞳。
そして、熱い唇と唇が重なっていた。
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アイリス(プロフ) - 毎話コメントはしていないのですが通知が来る飛んでいくんですよ😂時間があれば読み返したりして何度も楽しませてもらっています！こちらこそいつも素敵な物語をありがとうございます🙇 (2022年3月6日 22時) (
レス) @page32 id: 01923abc00 (このIDを非表示/違反報告)
なたね(プロフ) - アイリスさん» アイリスさん！😳ご無沙汰しております😢そうですね、2人の心と天くんの心に注目して見守って頂ければと…😌今日の夜また更新予定なのでぜひまたよければ覗きに来てくださいね☺️いつも本当にありがとうございます！<(_ _*)> (2022年3月3日 11時) (レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
アイリス(プロフ) - こんにちは！これからどうなるんだろう…！とドキドキしました😳だけど2人の心が離れることはないと思うので、嫉妬かわいい〜と楽観的に読ませて頂きます😂 (2022年3月2日 22時) (レス) @page29 id: 01923abc00 (このIDを非表示/違反報告)
なたね(プロフ) - monaさん» 更新するする詐欺になってしまっているのですが🥲2月半ば以降は繁忙期から解放されるのでガンガン更新していきます🙇♀️それまで宜しければお待ちください☺️コメが届いたので飛んできましたが、嬉しいお言葉有難うございました…!! (2022年1月28日 3時) (レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
なたね(プロフ) - monaさん» monaさんコメントありがとうございます！なんて嬉しいお言葉でしょう🥲一織の口調や行動はかなり気をつけているので、そう言って頂き安心致しました…！アイナナ愛、感じてください…！☺️最近全然覗けてなくて(続きます💦) (2022年1月28日 3時) (レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なたね | 作成日時：2021年4月29日 0時
