第44問 ページ44
その後、またTRIGGERのことを思い出して涙ながらにお弁当を食べる私を友達が励まし、昼休みは過ぎていった。
昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴る。
｢じゃあA！5限目に突然泣いたりしないでよ！｣
｢自信ないけど…うん。｣
｢本当にやめてよ？｣
私の弱々しい返答に友達は、ぎょっとしながらも肩を叩いてまた話そ！と言ってくれた。
席に帰っていく友達の背を見送りながら、6限目からの進路説明会でふとTRIGGERのこと思い出しちゃいそうだなどと思った。
……進路説明会。
そうだ、今一織くんが後ろにいるんだ。
振り向く勇気はなくて、隣の窓をふと見ると、まぶしい初夏の日差しが目に痛いくらいだった。
一織くん、本読んでるけど今話しかけていいかな。
授業始まる前に話しかけたら迷惑かな。
｢……っ｣
また、ためらってしまう。
と、友達に話しかけるだけじゃん。なんでこんなに緊張しちゃうんだろう。いつも。
｢友達｣に話しかけるのって、こんなに緊張するものだっけ…？
｢和泉さん。｣
後ろの席から、いつもの彼の声で私を呼ぶ声がした。
声は、出会った日にも後ろから聞こえてきたあの声と全く変わってない。
＿＿＿＿でも、きっと私が変わってしまったんだ。
今、この瞬間わかった。
和泉さん、そう彼の声で呼ばれるたびに胸が鳴ってしまっている自分がいる。
…そして、今も名前を呼ばれただけで心臓が波打って、甘く疼いてる。
4月、自己紹介で戸惑っていた私を助けてくれたあの日から、5月下旬の今日に至るまで、何度も何度も救われた。
もちろん相手は私では釣り合わないほどにかっこいいし、頭も良くて…何より、アイドルだ。
でも、私に初めて芽生えた……芽生えたと自覚できたこの想いを大事にしたい。
＿＿＿＿まさか、こんな日常の1ページの中で気づくなんて。
｢……どうしたの？一織くん。｣
まだ、気づかれたくない。この気持ちを。
私はうるさい心臓をなんとか抑えて、笑顔で振り向いた。
｢あの部費の件の真相はちゃんと全体に行き渡ったんですか？｣
この場に及んでまだ心配をしてくれる。
また胸がキュッとときめく。
｢うん、朝のSTで全体で言われたよ。多分学校全体でも行き渡ってると思う。…心配してくれてありがとう。｣
｢それならいいんですが…。……先程、あなたが落ち込んでいるように、見えたから。｣
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なたね(プロフ) - 八神ちゃんさん» 八神ちゃんさん初めまして！コメントありがとうございます！部長さんなのですね！いやいや、その役職に着いていらっしゃるだけで本当に尊敬しますよ…！無意識にですか！お言葉とても光栄です！楽しんで頂けて嬉しいです！これからもどうぞこの話にお付き合い下さいね♪ (2021年2月2日 21時) (
レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
八神ちゃん(プロフ) - 私も和泉ちゃんと同じで吹奏楽部の部長をやってて、それで下手くそなので()ちょっと悩んでたんです汗30問目を読み終わったあと無意識に「一織くんかっこよ!?!?!?」と口に出していました笑めっちゃ好きですｯｯｯｯ!!!!! (2021年2月2日 19時) (レス) id: 5b201646de (このIDを非表示/違反報告)
なたね(プロフ) - りりぃさん» りりぃさん、はじめまして！コメントありがとうございます！話を気に入ってて頂けて本当に嬉しいです…！応援、とても励まされます！これからも楽しんで頂けるように更新を続けていきますので、よろしくお願い致します！ (2021年1月30日 23時) (レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
りりぃ - もうこの話大好きです笑応援してます！ (2021年1月30日 22時) (レス) id: 52f6335d50 (このIDを非表示/違反報告)
なたね(プロフ) - itsukiさん» itsukiさん、初めまして！コメントありがとうございます！私ですか？ありがとうございます！笑 一織くん、いいですよね…！気持ちが共有出来て嬉しいです！これからもこのお話にお付き合い頂けると嬉しいです！ (2021年1月26日 23時) (レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なたね | 作成日時：2021年1月19日 3時
