第21問 ページ21
「えっ。」
一織くんの表情はいつも通り堅い。言い方も愛想が無い。
でも、その言動の節々に根底にある彼の優しさが滲み出てる。だからこそ、今の言葉にも私の心はふわりと温かくなっていく。
「さっきあなたが言いましたよね。私のしていることは当然のことではないと。誰にでもできるようなことでは、ないと。」
「う、うん。」
「全く同じ言葉を返しますよ、あなたに。」
＿＿＿＿！
「思いがけず部長になってしまったという状況にも腐らず、自分のことをよく思わない部員の存在さえも自分の責任にして、全体の目標のために見えない努力をする…あなたがしていることは、本当に聞くに堪えないことですか？」
…こんな、こんなこと。言われたことない、誰にも。
ずっと自分のせいだと思って、私なんか人よりやることでしか報われないから、認めてもらえないからって…自分を責めてばかりで。
そんな世界を、彼は、いとも簡単にひっくり返す。
「今私が聞いた限りで言えば、自慢するくらいでちょうどいいと思いますけど。」
一織くんは、やっぱりすごいな。
きっと誰にでも同じように、こうやって自分の意見を言える。そして、きっとそれが誰かを勇気づける。
そのせいで時に誤解されることはあるかもしれないけど…間違いなく、これが彼のスター性だろう。
「…一織くんが初めてだよ、そんなこと言ってくれたの。なんか自信ついた！ありがとう。」
精一杯、お礼を伝える。彼には感謝してばかりだ。
「いえ、私は別に…んん…どう、いたしまして
…。」
また、どういたしましてって言ってくれた！
「私も、初めてですよ。あんなことを言われたのは。周囲は皆、私がいくら勤勉であってもさすがだ、の一言でしたから。周りも、私も、勉強を欠かさずやることは当たり前だと思っていました。」
一織くんは少し表情を緩ませて、
「だけど、あなたは違うと言った。当たり前ではないと。」
……そうか。あの少し寂しそうな横顔は。
頑張っても、それが「当然」だった、そうでなければならなかった…彼の幼い日の寂しさを映してたんだね。一織くん自身も、その思いには気づいていなかったみたいだけど。
そんなの、悲しい。
「そ、そうだよ！一織くんはすごい！自慢の友達だよ！」
「友達…」
そう、一織くんは私にとって自慢の友達だよってちゃんと伝えたい。
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なたね(プロフ) - 八神ちゃんさん» 八神ちゃんさん初めまして！コメントありがとうございます！部長さんなのですね！いやいや、その役職に着いていらっしゃるだけで本当に尊敬しますよ…！無意識にですか！お言葉とても光栄です！楽しんで頂けて嬉しいです！これからもどうぞこの話にお付き合い下さいね♪ (2021年2月2日 21時) (
レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
八神ちゃん(プロフ) - 私も和泉ちゃんと同じで吹奏楽部の部長をやってて、それで下手くそなので()ちょっと悩んでたんです汗30問目を読み終わったあと無意識に「一織くんかっこよ!?!?!?」と口に出していました笑めっちゃ好きですｯｯｯｯ!!!!! (2021年2月2日 19時) (レス) id: 5b201646de (このIDを非表示/違反報告)
なたね(プロフ) - りりぃさん» りりぃさん、はじめまして！コメントありがとうございます！話を気に入ってて頂けて本当に嬉しいです…！応援、とても励まされます！これからも楽しんで頂けるように更新を続けていきますので、よろしくお願い致します！ (2021年1月30日 23時) (レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
りりぃ - もうこの話大好きです笑応援してます！ (2021年1月30日 22時) (レス) id: 52f6335d50 (このIDを非表示/違反報告)
なたね(プロフ) - itsukiさん» itsukiさん、初めまして！コメントありがとうございます！私ですか？ありがとうございます！笑 一織くん、いいですよね…！気持ちが共有出来て嬉しいです！これからもこのお話にお付き合い頂けると嬉しいです！ (2021年1月26日 23時) (レス) id: 1ba5a28d82 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なたね | 作成日時：2021年1月19日 3時
